予想外といっては失礼だが、ワンセグ放送の画質はかなり綺麗だ。同機は新開発の4.3型カラーASV液晶を搭載しており、解像度は480×272ピクセル。ワンセグ放送の画面表示は「拡大」と「標準」を選択可能だ。
標準表示(320×180ピクセル)では上下左右に黒い帯が入るが、そのぶん精細感が高く、受信状況さえ良ければ、ほとんどノイズを感じさせない。また「拡大」時も見やすさ重視で、適度にぼけた感じのまま表示する。無理にエッジを強調するより好感が持てる。
また、画面の印象を綺麗に見せている理由の1つは、同社独自のLCフォントを使った字幕だろう。電子辞書はもともと文字をメインに表示するものであり、専用のフォントも読みやすい。これをワンセグの字幕に用いれば、綺麗に見えるのは当然かもしれない。
そして、なによりもパピルスの最も良いところは、ボタン1つで電子辞書の画面にもどること。勉強中にテレビを見ていて、部屋の外に“親の気配”を感じたらボタン1発。勉強していたフリができる。なお、親の足音を聞き逃さないよう、イヤフォンは片耳だけにしておこう。……脱線した。
そのほかワンセグ放送関連の機能では、EPGやデータ放送、録画などの機能は残念ながら搭載していない。録画機能はともかく、視聴中の番組を確認したい人は多いはず。このあたりは、まだ改善の余地がある。
SDカードに記録したJPEG画像や電子書籍(TEXTおよびXMDF形式)、およびMP3音楽の再生をサポートしている点も嬉しい。MP3は192Kbpsまでしか再生できないなど物足りない部分もあるが、少なくとも再生できることは重要だ。仕事や勉強中のBGMとしてなら十分に使える。
パピルスは電子辞書だ。そのためワンセグ放送は“おまけ”的な機能と捉えられがちだが、必ずしもそうではない。確かにEPGや録画機能といった付加的な機能は省かれ、お世辞にも(ワンセグ端末として)多機能とはいえない。しかし、できることとできないことを分け、できることに関しては、使いやすい形で実装している印象を受けた。画質と音質、そして3つの視聴スタイルと付随する機能に関しては過不足なく対応している。
結論――パピルスは、改善の余地はあるものの、「実用」と「暇つぶし」を高い次元で両立させた魅力的な端末だ。自分が中高生の頃に売っていたら、クリスマスプレゼントの第1候補に挙げる。自分が親の立場なら、子どもに存在を知られたくない。ある意味、罪な電子辞書といえるだろう。
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