一眼レフ機のユーザーなら一度はチャレンジしたいのが、背景をぼかしたポートレート撮影だ。被写界深度を浅くしてバックをぼかし、人物のみを際立たせる撮り方は、コンパクトデジカメよりもCCDサイズが大きいデジタル一眼レフ機の得意分野といっていい。
まず基本的なおさらいをしておこう。背景のボケ量を決めるのは、カメラと人物の距離、人物と背景の距離、レンズの焦点距離、そしてレンズのF値(絞り)だ。人物を同じサイズで撮る場合、焦点距離が長ければ長いほど、絞りを開ければ開けるほどボケ量が増す。ただし焦点距離があまり長すぎると、人物の全身や上半身をとらえるには、カメラから人物までの距離をかなり取る必要がある。一般的には、80〜100ミリ前後の焦点距離がポートレート撮影に使いやすいといわれている。
絞りについては、そのレンズが設定できる最大の絞り(開放値)が大きいほど(数値が小さいほど)、ボケ量では有利になる。つまり、開放値がF4やF5.6のズームレンズよりも、F2前後の単焦点レンズのほうが、背景ぼかしには向いている。
そんなポートレート撮影にうってつけのレンズとして、ソニーから2本の単焦点レンズ「Planar T* 85mm F1.4 ZA」と「Sonnar T* 135mm F1.8 ZA」が発売された。どちらもドイツのカールツァイス社と共同開発した「カールツァイス」レンズである。レンズマウントはαマウント(Aマウント)を採用。対応するボディはソニー「α100」のほか、コニカミノルタの「α-7 DIGITAL」と「αSweet DIGITAL」、およびコニカミノルタやミノルタ時代のフィルムの一眼レフ機となる。
焦点距離がポートレートに適していることや、開放値が明るいことはもちろんだが、それだけがこの2本のレンズの特徴ではない。単にボケ量だけを知りたければ、スペックの数値だけでも算出できるだろう。これらのレンズの魅力は、ボケの描写にこだわっていることだ。いわゆる2線ボケの傾向や点光源のボケが欠ける口径食が少なく、滑らかで形のいいボケを表現しやすい。
特に85mmのほうは、ポートレート撮影時の背景ボケを美しく表現することを重視したという。さらにボケ味に加え、解像力や発色、各種の収差補正、逆光時の性能、絞り込んだ場合の描写についても最高レベルを狙ったと開発者はいう。画質最優先で設計したことがカールツァイスレンズの証しだ。
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