発売日:2006年12月2日 価格:3990円 販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 上映時間:109分(本編) 製作年度:2005年 画面サイズ:ビスタサイズ・スクイーズ 音声(1):ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語 音声(2):ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/日本語 |
まるでアメリカン・ニューシネマなホラー
西部の田舎町にやって来たafoで陽気な若者たちを、痛みと恐怖を何より愛する殺人一家がなぶり殺すゲテモノ系ホラー「マーダー・ライド・ショー」(02)は、「悪魔のいけにえ2」(86)や「地獄のモーテル」(80)を思わせる設定に加えて、情け容赦ない拷問描写や悪趣味ぎりぎりのケレンの効いた演出がホラー・ファンの心をムギュッと掴んだ。
それから3年、続編「マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト」が堂々完成。前作とはムードも世界観もがらり一変して、時代設定である1978年と同じくまるで70年代アメリカン・ニューシネマのようだ。
物語は早朝。ワイデル保安官が武装警官隊を率いて、一家を急襲するところから始まる。一家は銃で応戦するも母親が逮捕され、長男オーティスと長女ベイビーはからくも地下室から脱出。2人はボニー&クライドさながらに、75人のヒッチハイカーを殺戮した思い出の我が家を後にする。
ビザールな博物館“マーダー・ライド・ショー”の主にして不気味なピエロ、キャプテン・スポールディングもそこへ合流。彼がオーティスとベイビーの父親であることも判明し、親子3人は逃亡生活に入る。
「マーダー・ライド・ショー」の時よりも一層に、彼らの性格は残酷になっている。逃走するための車が必要となると、ベイビーが行き倒れを装い、助けようとしたウエイトレスの中年女性に後ろからオーティスがナイフをぐさり。スポールディングは車がガス欠になると、駐車場で子供連れの母親をぶっ飛ばし、汗でピエロ・メイクが剥がれかけながらも子供を泣かせることを忘れない。
アメリカ映画における潜伏先といえばモーテルだ。運悪くオーティスとベイビーに拉致されたドサ回りのカントリー・バンドは、あらゆる屈辱と恐怖を舐めさせられた後で、無残にも殺される。抵抗しようとする男たち(その直後、死ぬ)にオーティスは言う。
「格好いいところを見せようとしやがって。英雄の末路を知ってるか」
「お前の神に祈れ 助けてくれってな。俺の頭に雷を落としてみせろ」
善人たちが自分の吐いた血にむせながら最後の力を振り絞って神に許しを乞うと、オーティスは断ち切るように言い放つ。
「俺は悪魔だ。これが悪魔の仕事さ」
このシーンは仰向けになって倒れている被害者の目線で撮影されており、血にまみれたオーティスを観客が見上げる角度だ。太陽を背にして油じみた長髪をたなびかせて、オーティスは神への闘いを宣言する。この映画は、神に闘いを挑み、自由を手に入れようとする人間たちの物語だ。
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