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42インチWXGA機が999ドル? “パナソニックショック”の真実2007 International CES(2/2 ページ)

» 2007年01月18日 16時44分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 「ブラックフライデーがどういうものなのか、米国の消費者はよく知っています。その後のビジネスには影響は出ていません」

――今年のInternational CESにおけるプレス向けのプレゼンでは、液晶に対するプラズマの優位性を、基礎からアピールし直すということを強調していました。これが逆に“危機感”を感じさせるのですが、LCDが大型化していく中での危機感があるのではありませんか?

 「これは店舗営業をいちからやり直すという、われわれの意志の表れです。販売店教育を徹底することでシェアを伸ばしたと昨年お話ししましたが、われわれができることは他社もできます。とくに液晶テレビが得意なメーカーのネガティブキャンペーンが凄まじかったのです。この部分をいちからやり直し、プラズマの良さをアピールしていきます」

――具体的にネガティブキャンペーンとは?

 「冗談のような話ですが、液晶は液体だから将来もパネルから漏れ出すことはないけれど、プラズマの中はガスだから抜けてしまう、なんて話をする販売応援が組織的に行われていて驚きました。また、ヘルパーがペンライトを持ってプラズマの保護ガラスにライトを当て、“ほら、プラズマは見にくいでしょう?”とやるんですよ。プラズマは焼き付いてしまうといった、初期の製品にあった弱点を未だに呪文のように唱えている場合もあります」

――今年は北米にもフルHD機を投入します。ライバルはすでにフルHD機を展開している液晶テレビでしょう。しかし、フルHD機の価格競争も激しくなってきました。

 「さすがにここまで低価格化が進むとは思っていませんでした。1080Pの40〜42インチクラスは300〜400ドルぐらい相場が下がっています。シャープの42インチフルHD機が、仕上がりから見て2799ドルで売り出すだろうと思っていたら、実際には2499ドル。このモデルをきっかけに、一気にフルHD液晶テレビの価格が下がりました」

――そうした厳しい価格競争の中で、プラズマの優位性をどのように訴えていくつもりでしょうか?

 「まず動画解像度の優位性。フルHDの液晶よりも、WXGAのプラズマの方がスポーツ番組などでは解像度が上に感じるといった逆転現象がありましたが、同じフルHDならばプラズマの方が圧倒的に優位です。最近の液晶は応答速度が上がり、倍速駆動も導入されてきていますが、すべての場面で改善できているわけではありませんし、比較するとまだまだ動画解像度はプラズマが上回ります」

 「くわえてプラズマテレビ市場そのものも、まだまだ伸びているんです。40インチクラスは液晶テレビの方が伸び率が高く、現時点でプラズマテレビの2倍ぐらい売れていますが、50インチ以上は圧倒的にプラズマです。それに、今年はまだフルHDよりもワイドXGAの方が市場において中心的な存在だと考えています。フルHD機との間には300〜500ドルぐらいの価格差がありますし、50インチ以上の液晶テレビはまだまだ高い」

 「今年前半はワイドXGA機中心に販売し、今年後半にフルHDで勝負です。フルHDならではの高精細を、動画解像度が高いプラズマだからこそ活かしきれる。そうした認知をキッチリと広めた上でフルHD機を拡販したい」

――今年は“シェアの話はナシね”と言われましたが、あえて伺いますが、どこまで北米での販売を伸ばせるでしょう?

 「37インチ以上の市場で3割の占有率が目標です。これは液晶テレビも含め、テレビ市場全体の3割です。現在、液晶とプラズマは市場を半々に分けていますから、現在の2倍を売ることが目標です。昨年はあまりにもうまく行き過ぎ、油断して落としてしまった。しかし、今年はそれを反省して、販売店営業や修理サービスの充実によって巻き返します」

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