MNPの恩恵をまったく受けることなく、相変わらず3〜4カ月に1回はケータイを替えている筆者である。
もちろん、仕事関係でお世話になっている人や、親しい友人達からは少しブーイングも聞こえてくる。MNPを笛と太鼓で告知しても、相変わらずニューモデル・ケータイと新規回線契約の抱き合わせが圧倒的に安い日本のケータイ・ビジネスモデルがある限り、筆者のようなユーザーもまだまだ生息する隙間空間はありそうだ。そんな飽き性の筆者だが、今回は、少し長く使えそうな「デキるケータイ」がNokiaから登場した。
第三世代のW-CDMAとGSMの両互換機である「Nokia E61」は、グローバル志向、そしてケータイ・マニアックな人達からは、今回の国内販売の発表がされるずっと以前から賞賛を浴び続けていたケータイのひとつだ。
大昔、PSIONのPDAを何世代にも渡って愛用して来た筆者にとっては、久しぶりに懐かしいSymbian OSを搭載したPDAイメージのスマートフォンだ。ここしばらく2〜3カ月に1回くらいの割合で海外出張のある筆者の場合、モバイルPCを持ち歩かない環境下の国内専用ケータイとしてWILLCOMのW-ZERO3[es]を愛用し、海外専用として同じシャープが開発に関係する「Sidekick II」を愛用してきた。
少し残念だが、グローバル大好き人間の推すNokia E61も、決してすべての日本のケータイユーザが手放しで賞賛できるモデルでは無い。本体重量の144グラムは、筆者が同時に所有しているNTTドコモの最新機種であるFOMA D903iの113グラムに対して約27%重く、筆者にはあまり使い道は無いが、流行の高画素デジタルカメラも内蔵していない。
そのかわり、Wi-FiやBluetooth、赤外線、USBなど、考えつくすべての通信手段を標準でサポートし、MSオフィス製品の表示や基本機能の操作も可能だ。そして、操作性を向上させるTrue ColorサポートのQVGA液晶画面、QWERTY配列の堅牢で秀逸なフルキーボード、クイックなカーソルコントロールを実現出来るジョイスティックなどを搭載している。
標準搭載のWebブラウザは、スクロールが高速で、QVGA液晶で現在表示しているパーシャルな部分が、全画面においてどういう位置関係にあるかを簡単にイメージできるサムネール機能「ミニマップ機能」を備えている。加えて、簡単にWeb履歴画面へワープできるナビゲーションの「履歴機能」も搭載している。
ワープのイメージは、大昔のマッキントッシュを知る読者なら、あのアンディ ・ ハーツフェルド氏が開発した 驚愕の「Switcher」を思い浮かべればイメージはほぼ近いだろう。今までのケータイ電話のブラウザはいったい何だったんだろう、と思える仕上がりだ。
Nokia E61を使えば使うほど、ケータイ電話における「グローバルの意味」を考えざるを得ない。コトが期待通りに上手く運べば、世界中でiモードを使えるようになるという戦略も悪くは無かったが、既に地球規模でのケータイバトルは終戦を迎え、今やiモードはケータイ産業における日本独自の非関税障壁の残骸でしかないようにも思える。
今後、日本のケータイ市場がどうなるのかは、過去20年に渡るパソコン世界のグローバリゼーションの歴史を回顧すれば誰にでも理解できることだ。まさに今の日本のケータイ産業は、パソコンと同じ過ちを犯しながら、10年遅れでパソコンワールドを追いかけているに過ぎない。
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