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ラジオサーバー「VJ-10」は本当に「サーバー」かレビュー(3/3 ページ)

» 2007年03月23日 01時42分 公開
[瓜生聖,ITmedia]
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PC/ICレコーダーとの連携

 VJ-10の側面にはPCに接続する際に使用するUSB-miniBコネクタとICレコーダーなどを接続するUSB-Aコネクタが付いている。これらのコネクタ上にはスライド式のカバーがあり、常にどちらかのコネクタはカバーで隠されている状態になる。内部的だけでなく、物理的にも排他的になっているのは幅広い利用者の存在を考慮してのことだろう。いいアイディアだと思う。

photophoto 「パソコン」の下のスライダを左にずらすとUSB-miniBコネクタが現れ、左のUSB-Aコネクタが隠れる(左)、Windowsのエクスプローラから見たVJ-10。本体で表示されるそのままのフォルダ構成になっている(右)

 USB接続したPCから本製品はFAT32のリムーバブルディスクとして認識される。VJ-10がラジオモードになっている場合や、ファイルの再生中には正常に認識されないのでファイルモードに切り替え、ファイルが再生されていない状態にしてから接続する必要がある。本体の録音はWMA形式のみだが、再生はMP3形式にも対応している。PC上にある大部分の音声ファイルが活用できるのではないだろうか。ただ、PCとの接続を切断した後、操作・聴取可能になるまで30秒ほどかかるのがちょっと難。

 USB-Aコネクタに接続できる機器は動作確認がとれている同社製ICレコーダー、ということになっているが、実際にはマスストレージクラスのUSB機器、USBメモリやUSB接続外付けHDDも認識されるようだ。

ただし、本来はICレコーダー用のコネクタであるためか、USBメモリからVJ-10へは選択したファイルのみのコピーはできず、すべてのファイルの一括コピーのみとなる。逆にVJ-10からUSBメモリへのコピーはファイルを選択することができるが、コピー先のフォルダを指定することはできない。

photo USBメモリ接続時。操作を受け付けないように見える画面だが、この状態でメニューボタンを押して操作する

 さて、HDD搭載機器とくればより大容量のHDDへの換装を考えるのが人の常。ところがVJ-10のHDD換装はそうそう簡単ではなかった。

 VJ-10底面のネジを取り外し、慎重に底面カバーを外すと、メイン基板が現れる。その中央、液晶ディスプレイの背面に当たる部分に2.5インチHDDが収められているのが見える。一見、このままするすると取り出せるように思えるのだが、実際はがっちりとネジ留めされている。メイン基板を取り外すと、金属製の固定具で側面からネジ留めされていることが分かる。ネジにアクセスするためにはタワー部分の外装を取り外さなければならない。

 音声ファイルと割り切ってしまえば37GBという容量は高音質モード(WMA/128kbps)でも約625時間、CD600枚程度に匹敵する。長時間モード(WMA/32kbps)ならば約2500時間だ。容量増のための換装は必要ない、と言いきってしまってもいいかもしれない。

結局「買い」か?

 本製品は28ミリ径のステレオスピーカーを内蔵し、手軽にラジオ放送やエアチェック、音楽が楽しめる機器として、旧来のラジカセを置きかえる、ある意味「正統進化形」と言える製品ではないだろうか。

photophoto 電源オフ時には時計が表示される。表示パターンは2つから選択する

 ディスプレイは大型だが、視野角に制限のあるSTNモノクロ液晶。チルト機能は搭載されておらず、常にディスプレイが垂直になっているため、机の上に置いた場合などは上から見下ろすような状態になってしまう。上方向からの視認性は比較的良いが、下方向から見ると45度程度の仰角でほぼ見えなくなる。リモコンが付属しないので高い棚などに置くことはないだろうが、設置する場所の選定は少し意識しておくべきだろう。

 インタフェースに関しては少々意地悪な検証を行ったが、正直、VJ-10のような機器に必要なのはデフォルト状態での使い勝手の良さと、PC接続時の制限の少なさだと思っている。ボタン1つで録音した後、そのファイルを移動させたり、ファイル名を変更したりする必要がなければ、ファイル操作がやりづらくても実用上なんら問題はない。実際、予約録音時にフォルダ分けまで設定できるため、ファイル操作を行う必要を感じることはほとんどなかった。

 当初“ラジオサーバー”という名称からネットワーク経由でどうこうできるモノ、という印象を持ち、実際の製品に違和感を感じたのだが、レビューを終えて感じたのは他の機器に対してサービスを提供するのではなく、リスナー個人に対してのサービスを行う、という意味でのサーバーなのではないか、ということだ。

 電源オフ時の時計、目覚ましタイマー、お休みタイマー、ラジオ放送、録音、音楽再生……確かにそこには初めて自分の部屋を与えられた少年の、その自由の象徴ともいえるラジカセのすべてがある。語学勉強などにラジオを活用している人以外も、機会があったら一度手にとってみてもらいたい製品だ。

photo 本文中では触れなかったがサラウンド効果の「SRS 3D」とベースブースト効果の「TruBass」を搭載している。好みに応じてレベル設定が可能
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