昨年のサッカー・ワールドカップ以後、DVDレコーダーの需要は一段落した。JEITAの国内出荷実績を見ると、“DVD録画再生機(HDD内蔵)”の2006年累計出荷台数が前年比85.9%の305万8000台と低迷している。しかし、そうした状況の中でシェアを伸ばしているのが、パナソニックとシャープの2社。共通するのは、薄型テレビの人気が高いこと、そしてHDMIコントロール機能に早くから取り組んだ点だろう。
パナソニックの「VIERAリンク」、シャープ「AQUOSファミリンク」は、ともにケーブル1本で薄型テレビとDVDレコーダーが連携動作する手軽さが魅力だ。今年に入ってから各テレビメーカーが相次いで追随しているものの、先行者メリットは今だ失われておらず、テレビとレコーダーの“同時購入”に繋がっているという。
同社商品企画グループビデオチームの助川学氏によると、「間違いなくVIERAとDIGAのセット購入は増えています」という。「実際の数字は取りにくいため(販売店への)ヒアリングに頼るしかないのですが、大画面テレビを購入したときにビデオデッキからの買い替えにDVDレコーダーを購入するケースが増加しています。それをVIERAリンクが後押しした」(同氏)。極端な例かもしれないが、ある販売店では『4割から5割程度がセット購入』と言われたという。
さらにパナソニックは、4月1日に発売した新しい「DIGA」シリーズ(発表記事)で「VIERAリンク」を“ver.2”にアップデート。薄型テレビ「VIERA」シリーズとの親和性をさらに高めている。
従来のVIERAリンクと“ver.2”の違いは、大きく分けて2点ある。まず、設定情報の転送機能だ。たとえばVIERAとDIGAを同時に購入したとき、デジタル放送のチャンネルスキャンなどの設定作業を両方で行うことになるが、ver.2ではVIERA側だけで済む。片方が終了したらHDMIケーブルを接続。するとテレビ側のチャンネル設定がDIGAに伝送される仕組みだ。
「地上デジタル放送のチャンネルスキャンは、意外と時間がかかるものです。新しいDIGAシリーズでは、テレビ側の設定情報を自動転送することで作業自体を3〜4ステップ、時間にして1分前後で完了できるようになりました。当初は(設置作業を行う)販売店向けの機能だと考えていましたが、蓋を開けてみると『引っ越しにも便利』とセールストークにもなっているようですね」(同氏)。
もう1つの新機能は、録画連携「今すぐ録画」のスピードアップだ。今すぐ録画は、「サブメニュー」から「見ている番組を録画」という項目を選択するだけでDIGAが起動し、当該番組の録画を開始するというもの。しかし、DIGA起動時に内蔵HDDのスピンアップ時間がかかるため、録画を開始するまでに17秒程度のタイムラグが生じていた。対してver.2では、HDDをある程度回転させた“待機状態”(PCのスタンバイ状態に相当)にしておくため、録画開始メニューを選択してから約3秒後には録画を始めることが可能になっている。
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