デジタル一眼レフ機の小型軽量化が進んでいるが、中でも圧倒的な小ささと薄さ、軽さを誇るのがオリンパス「E-410」だ。本体重量375グラムは現時点での世界最軽量であり、標準ズームやバッテリー、カードを含めても約660グラムしかない。
どうやってここまで小型軽量化できたのか、その秘密を開発者に聞いてみた。話をうかがったのは、開発のリーダー的な役割りを担ったオリンパスイメージング 開発本部 商品開発部 商品開発2グループ 課長 石橋唆月氏と、当初は商品企画を担当し、現在は営業企画を受け持つ同社 営業本部 営業企画統括部 企画グループ 課長代理 名田良之氏の2人だ。
――開発はいつごろ、どういうきっかけで始まったのですか?
石橋氏: E-410のベースとなるヨーロッパ限定発売の「E-400」は、2005年秋に開発がスタートしました。ちょうど、当時としては世界最軽量のデジタル一眼レフ「E-500」を発売した頃です。E-500の重量については、ほぼ満足できるレベルを実現できましたが、レンズを付けた時のサイズはまだ大きい印象が残る、他社機との比較でもレンズ込みでは最小とはいえない、といった意見が社内にありました。
次機種に向けて、そもそもオリンパスにはどんな強みがあるのか、どういうDNAを持っているのかを議論しましたが、やはり最小最軽量であること、レンズを含めたシステムとして圧倒的に小さくて軽い製品を目指そうということになったのです。
名田氏: E-410は、正面から撮ったカタログ写真だけを見ると、それほど小さいと感じないかもしれませんが、ボディの厚み方向はかなり小型化しています。これはフォーサーズならではの小型化といえます。我々が目指したのは、店頭で実機を見たり手に取ったときに、本当に小さいと感じられるサイズです。そのため、従来製品に対して体積比で20%減を目標にしました。
――そもそもフォーサーズシステムは他のデジタル一眼レフよりも撮像素子が小さいため、以前から小型軽量化に有利といわれていました。しかし、これまでの製品は圧倒的に小さいとはいえません。どうやってE-410ではこれほど小型軽量化できたのですか?
石橋氏: 順に話しますと、1つはバッテリーです。電池の体積をどこまで小さくできるのか、容量や撮影枚数、消費電力をシミュレーションし、十分な撮影枚数を確保しつつ従来より見た目で半分近いバッテリーのコンパクト化を行いました。まずこの新バッテリーでグリップ部の厚みを抑えました。
2つめは内部のフレームです。基本構造はE-500のフレームを踏襲していますが、細かい変更を積み重ね、剛性を保ちながらより小さな形状にまとめています。3つめは、ミラーとシャッターの駆動ユニットの改良です。部品を小型化した上で、シャッターチャージ部をこれまでとは逆の位置に配置してスペースをつめています。
4つめは電装関係です。基板やストロボ用のコンデンサを分割して、それぞれを立体的にレイアウトしています。5つめはファインダーの改良です。ペンタ部のミラーの角度を傾けて、ペンタ部の位置を少し後ろに下げています。前にできた空間に内蔵ストロボの発光部を収め、ボディ全体の高さを低くしています。
さらに、ダストリダクションを行うSSWF(スーパーソニックウェーブフィルター)を新規設計し、従来よりも直径で2.8ミリ小さいユニットに仕上げました。小型化に合わせて駆動の周波数を最適化していますので、ゴミを落とすと力は従来と同等以上の性能を実現できています。
――新設計のSSWFは今後の製品にも採用するのですか?
石橋氏: はい。SSWFを小型化したのは2つの理由があります。ひとつはE-400/E-410を最小最軽量のボディにするためで、もうひとつは7月に発売する「E-510」でボディ内手ブレ補正を実現するためです。E-510の防振機構は、SSWFと一体化した撮像センサーユニットを超音波モーターで動かす方式です。その動きに制約が生じないように、SSWFを小型化する必要があったのです。
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