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れこめんどDVD:「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」(Blu-ray Disc)DVDレビュー(1/3 ページ)

» 2007年06月08日 13時50分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

 2006年夏、「M:I:V」「ゲド戦記」などの並み居る強敵を押しのけ、100億円を超える圧倒的な興行収入で大ヒットとなった「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」。

 その最終章である「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」の公開にあわせ、シリーズの第1作と第2作がBlu-ray Discで登場した。現在も好調に売り上げを伸ばすDVDも爆発的なセールスとなった海賊映画は、Blu-ray Discでどのように生まれ変わったのか? 早速検証してみよう。

「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト(Blu-ray Disc)」

発売日:2007年5月23日
価格:4935円
発売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
上映時間:150分(本編)
製作年度:2006年
画面サイズ:ワイドスクリーン
音声(1):リニアPCM/5.1ch/英語
音声(2):ドルビーデジタル/5.1ch/英語
音声(3):DTS/5.1ch/日本語
音声(4):ドルビーデジタル/5.1ch/日本語
音声(5):ドルビーデジタル/5.1ch/タイ語
音声(6):ドルビーデジタル/5.1ch/ポルトガル語

 今さらだが、2003年に製作された第1作「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」はディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」を映画化したものだ。製作はすっかりブランドとして定着した感のあるジェリー・ブラッカイマー。実は公開される前は海賊映画という設定の古さを指摘し、それほど大ヒットしないのではという声が関係者からも漏れていた。

 しかし、これがメジャー映画初進出となったジョニー・デップ、「ロード・オブ・ザ・リング」でアイドルとなっていたオーランド・ブルーム、それまでメジャーでは脇役しか演じた経験のないキーラ・ナイトレイといったキャストと、驚異的とも言えるVFX技術が注目を集め、世界的な大ヒットになった。この辺の才覚はジェリー・ブラッカイマーによるもので、改めて彼の感性に驚かされた思いだった。

 しかし、彼自身もここまでのヒットは予想していなかったのか、第2作が公開されるまでには3年の月日が費やされることになった。この第2作は前作のヒットを受けて製作されたため、ふんだんに予算をかけ、スケールから何から何まで前作を遥かに凌ぐ作品になっている。

 また、この作品は第3作である「ワールド・エンド」と同時に撮影が進められた。そうした場合、普通はストーリーが分散してしまい、中途半端な印象に終わるシリーズも多いが、本作はキャラクターの描きこみや物語はもちろん、映像のテイストから音響に至るまで細心の注意が払われ、独立した作品としてみても実に見応えのあるものになっている。

ジャックの永遠のライバル、デイヴィ・ジョーンズ

 もちろん前作の主要登場人物である、ジャック・スパロウ船長、鍛冶屋のウィル・ターナー、総督の令嬢エリザベス・スワンといったおなじみのキャラクターはそのまま出演しているが、本作最大の収穫はデイヴィ・ジョーンズというジャック・スパロウにとって最強のライバルを創出したことだ。

 口から伸びたタコの足のような触手は絶えず動き回り、水面下から突如現われる幽霊船「フライング・ダッチマン号」で指揮を取る。軟体動物に恐怖心を覚える西洋人ならばより一層恐ろしく感じるはずだ。また、水生動物を模した乗組員たちの姿もおぞましく、モンスター好きにはたまらない。

 デイヴィ・ジョーンズを演じたのはイギリスの名優ビル・ナイ。最近は「アンダーワールド」シリーズでもその異彩を発揮しているので、ご存知の方も多いだろう。だが、ここまで顔を見せない役はこれまでにもないはずで、よほど演技に自信がない限り受け入れるのは難しい役のはずだ。

 ジャックの旧友であり、現在デイヴィ・ジョーンズに囚われの身となっているウィルの父親、ビル・ターナー役には「キング・アーサー」で凶悪な役を演じたステラン・スカルスゲートが存在感たっぷりに演じている。

劇場と同一レベルの高画質・高音質

 圧縮方式はMPEG-4 AVC。全体的な印象では、映画そのものともいえる画質が手に入るのは問題なのではないか?! とも思えるほど高画質だ。このシリーズは撮影したフィルムをデジタルスキャンし、編集作業も完全なデジタル処理で行うDI(デジタルインターメディエイト)で行ったため、なおさらデジタルとの相性がいいのかもしれないが、一度再生したら自分の使っているモニターやプロジェクターがいつの間にかクオリティアップしたかのような印象を受けるはずだ。

 音声はオリジナルの英語をリニアPCMとドルビーデジタルで、日本語吹替版をDTSとドルビーデジタルで収録。タイ語とポルトガル語も収録している。一番高音質なのはもちろんリニアPCMだ。砲撃の音や船のきしみ、クライマックスのクラーケン襲撃まで、すべてがクリアで、怒涛のサラウンドを体験できる。子供にも人気のシリーズなので、一緒に視聴する際はぜひDTSも試してもらいたい。日本の声優陣の技術の高さも知ることができるはずだ。

 ディスクの視聴は、プレイステーション3からヤマハのAVアンプ「DSP-AX4600」をHDMIで接続し、42インチのプラズマと液晶プロジェクターによる80インチのスクリーンで映像をチェックした・

 本編前にはブエナ作品のBlu-ray Disc版のPRと「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」の日本版予告編を収録。予告編は2ch収録なのが残念だが、ハイビジョン収録されている。これを見たら劇場に行かずにはいれないだろう。

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