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デジタル時代の「卓上テレビ」――東芝「gigabeat V401」レビュー(3/3 ページ)

» 2007年06月11日 12時12分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 ミュージック/ビデオプレーヤー、JPEGビューワーとしての機能も備えている。再生できるのは音楽がWMA(WMA 9 Lossless)/MP3/WAV、動画はWMV。転送にはWindows Media Playerを利用する。Windows DRM10に対応しているので、ナップスター・ジャパンの定額制音楽配信サービスやMora winで販売されているミュージッククリップなども転送できる。

 同社は圧縮音源の補完技術「H2C」(High order Harmonics Compensation)を有しているが、本製品では進化した「新H2C」を実装している。補完をメインとする「Professional」モードと低域も強調する「Dynamic」モードを用意している。付属イヤフォンと内蔵スピーカーの双方で音楽を聞きながら新H2Cのオン/オフを切り替えてみたが、新H2Cを利用しない状態でもそれぞれの音質は高レベルにある。

 付属イヤフォンは(あいかわらず)外見こそチープだが、音のヌケを感じさせるほか、解像感もあり、高いレベルにある。ただ、個人差こそあるはずだが装着感には乏しいので、好みで交換してもいいだろう。個人的に好感が持てたのは内蔵スピーカー。オンキヨーと共同開発した薄型スピーカーを搭載しているが、これだけの小型にもかかわらず、音量を上げてもトゲトゲしいところがなく、しっかりとした音を出す。さすがに低音の厚みには欠けるが、小型機器の内蔵スピーカーとしては十分だ。

 大型液晶と大容量HDDを搭載していることもあり、フォトビューワとしての利用を考えるひともいるかと思う。USBホスト機能を備えており、PC接続時にUSBマスストレージクラスとして認識されるデジカメならばケーブルで接続するだけで、画像のコピーが行える。転送用領域を事前に確保(256M/512M/1G/2Gバイトの4種類が選択できる)する必要はあるが、便利に使える機能だ。

photophotophoto サムネイル表示(左)、通常表示(中)、拡大表示(右)。拡大表示は十字キーで表示領域を移動させることができる。デジカメから直接転送した場合でも、フルサイズ(元サイズ)での表示はできない

 画像の表示は液晶画面の縦解像度(272ピクセル)にあわせた通常表示と、拡大(ズーム)表示の切り替えが可能。さすがに専用製品に比べると表示できるファイル形式がJPEGのみ、色数が1677万色まで、Adobe RGBやxvYCCは未サポートなどの制限はあるが、液晶の輝度は高く、写真は見やすい。スナップショットをアルバム的に保存し、人へ見せる程度の役目は十分に果たしてくれる。


photo 付属のクリップ式スタンドを利用すれば角度を付けた状態で利用できる

 最近ではワンセグ=携帯電話という感も強いが、本製品はポータブルプレーヤーとして成熟の域に達しつつあるgigabeatにワンセグという機能を上手にプラスしている。選局/予約時にラテ欄表示ができないのは相変わらず残念だが、録画機能も必要十分なレベルにある。

 約244グラムという重さには正直なところ、“ポータブル”プレーヤーとしてどうなのよ? と思わざるをえないが、「携帯できる卓上テレビ」として考えればさほどのマイナスにはならない。確かに携帯できないサイズと重さではないが、ワイド液晶など「見る」ことに重点を置いていることは明確であり、基本的には卓上テレビ的な使い方をするのがベターだろう。

 卓上テレビとしての利用を考えるならばAV入力も欲しいところだが、それでも大容量HDDと大型液晶によって、「デジタル時代の卓上テレビ」としての存在感を放つ製品といえる。

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