ITmedia NEWS >

この夏“買って得する”一生ものヘッドフォン選びバイヤーズガイド(2/4 ページ)

» 2007年06月20日 11時27分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]

 メーカーによる個性の違いも重要な要素だ。現在ヘッドフォンはさまざまメーカーから多くのモデルがリリースされているが、価格帯的にはライバルとなる2社の製品でも、音の傾向は大きく異なることが多い。

 低音の迫力を重視するか、高音の伸びやきれいさポイントをおくか、解像度を追い求めるかは、市場のニーズもさることながら、開発者のさじ加減ひとつでずいぶん変わってくる。もし自分の好みの音に近い製品を見つけることができたら、同メーカーの別製品を試聴してみるのが得策だ。

 そして最後に“買って得する”ために最も重要な部分、価格について話そう。

 オーバーヘッド型ヘッドフォンは、下は2000円前後から上は10万円を越えるものまで、非常に幅広い価格帯で製品が用意されている。ある程度高価な製品について言えば、好みの問題を別にすればどれを購入してもそう「外す」ことはないのだが、低価格製品に関しては注意が必要だ。

 低価格帯の製品はたとえ数千円の違いであっても、高級機といわれる製品に比べると音質が大きく劣るばかりか、耐急性が低いものも多いからだ。低価格製品が「安価」を実現するために行うのは、部品のコストダウンであり、オーバーヘッド型ヘッドフォンの場合、特にスピーカーハウジングとイヤーパッドにコスト差が如実に表れることが多い。これが音にも耐久性にも、多大な影響を与えてしまうのだ。

 ハウジングはホームオーディオ用スピーカーでいうところのスピーカーボックスに当たる存在であり、これの素材や厚み、形状でずいぶん音に変化が出てくる。低価格製品は、概してプラスチックっぽい音が乗ってしまい、せっかくの音楽をスポイルしてしまう傾向がある。イヤーパッドは、もっとも経年変化が現れる部分。安価な製品などによく使われる薄手のビニール素材などは、数年も経つとボロボロ剥がれてしまうものがあるのだ。

 無論、低価格帯の製品にも「その価格でこの音質」と目を見張る製品が存在するが、長くよい音を楽しみたいならば、ある程度の投資はすべきだろう。今回は「一生もの」を探すという趣旨から、1万円を下回る製品に関しては選択の対象から外したいと思う。個人的には予算さえ許せば2万円から上の製品が望ましい。音に対する満足度と耐久性が、このあたりから急に向上するのだ。それにこの価格帯の製品であれば、10年使うのも夢ではないから、決して高い買い物ではないはず。

 実際、僕はソニーの「MDR-CD1700」というヘッドフォンを2万5000円程度で購入し、8年近く使っている。先日ヘッドフォンを多数試聴する機会があったためついでにこちらも持ち込んで比較してみたのだが、音質的な劣化はそれほど認められず、充分現役で活躍できる実力を披露してくれた。これだけ長い間活躍してくれるのであれば、数万円の出費であっても決して惜しくはないだろう。

 値段という表面的な要素に惑わされることなく、「自分にとってベストな製品」を探し出して欲しい。

さて、ここから先は具体的なお勧めモデルを紹介しよう。内容として、製品と音の特徴にくわえて、音色傾向をあらわす表を添付した。これらを参考に、自分好みの音を見つけ、お気に入りの製品を選び出して欲しい。

関連キーワード

ヘッドフォン


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.