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オーディオの楽しみを再び麻倉怜士のデジタル閻魔帳(2/3 ページ)

» 2007年07月02日 08時37分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

オーディオの世界に飛び込む第一歩

――積極的に音楽を楽しもうと考えても、オーディオの世界はそれこそ大海原のように広大かつ深淵です。まずは何から検討していけばいいのでしょう。具体的なオススメ製品とあわせて教えてください。

麻倉氏: まずはひとそろい一体型としてセットアップされたものにするか、単体セパレートで「アンプはコレ、スピーカーはアレ」と1つずつ揃えていくかという選択肢があります。最近ではセットアップされた製品にも良いものが多く登場していますし、セパレートで揃えていくにしてもメーカーを統一していけば、まず失敗することはないでしょう。

 いまは海外メーカーの製品作りが活気を帯びていますし、国内メーカーも独自の切り口を打ち出して対抗しています。再入門を前面に押し出した製品作りやマーケティングも盛んになっていますので、これからは本当に良い時期ですね。

 まずオススメとして挙げたいのはソニーの「System 501」です。クラシックと女性ボーカルを美しく響かせるという分かりやすい切り口で作られています。女性ボーカルがきちんと聞こえるかはオーディオの基本なので、ここが艶っぽく、キレイに聞こえれば、ほぼ大丈夫です。

photo System 501

 いわゆるシステムコンポの範疇には入らない落ち着いた音が特徴で、「大人のためのミュージックギア」とでもいえる雰囲気を醸し出しています。バランスが良く、なおかつ音の芯がしっかりしているので、SACDの雰囲気や間接音も上手に表現します。人工的な音ではなく、アコースティックな響きを大切にしたいひと向けですね。

 デノンの「PMA-CX3」(アンプ)と「DCD-CX3」(SACDプレーヤー)、「CX-303」(スピーカー)の組み合わせもお勧めです。デノンはCX-101以来、スピーカーがとても良くなりました。情報量があって、音楽的な音の出方をしますし、音調も整っています。

 「PMA-CX3」はデジタルアンプなのですが、これがまたいいものです。アンプについてはデジタル化すればよいというものではなく、むしろ難しさは増すのですが、PMA-CX3はCX-303と組み合わせて上手に鳴るようにシステムとして設計されています。PMA-CX3とCX-303はひとつのパッケージとして音作りされていますね。

 傾向としてはソニーのSystem 501が情緒指向であるのに対して、デノンのこの組み合わせは情報量とディテールを指向しています。テンションとスピード感がありながら、同時に安定性にも優れているので、ロックからクラシックまであらゆるジャンルに有用です。

――もう少し価格帯を上にするとどのような製品が視野に入りますか?

麻倉氏: エソテリックの「SA-10」(SACDプレーヤー)、「AI-10」(プリメインアンプ)、「MG-20/10」(スピーカーシステム)の組み合わせを挙げたいと思います。創立20周年を記念したシステムで、金額だけを見れば高く思えるかもしれませんが、エソテリックは世界的なハイエンドメーカーです。そんなメーカーのシステムと考えれば、そう高価とは言い切れません。

photophotophoto 左から「SA-10」(SACDプレーヤー)、「AI-10」(プリメインアンプ)、「MG-10」(スピーカー)。スピーカーにはトールボーイタイプのMG-20も用意されている

 スピーカーメーカーではないのにもかかわらず、システムにマッチした音のためにマグネシウム振動板を搭載したスピーカーを開発するなど、その志も非常に高尚なものがあります。自然さと艶っぽさ、情報量の多さが同居したサウンドで、ディスクに封じ込められた音をすべて引き出してくれます。

 サウンドだけではなく、ボディデザインのすばらしさ、心配りも特筆に値します。アールの付け方や光の反射までも考慮したデザインなど、細部まで心を砕いていることが分かります。入門機ながらもハイエンド、ハイエンドながらも入門機。確かに高価ではありますが、志が高くワンブランドで揃えることがどれだけ素晴らしいかを語る良い例ですね。

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