音楽の再生には「ミュージック」を選択する。選択するとA-Zのアルファベット順に並べられているフォルダ選択画面に切り替わり、収録されている音楽が再生される。再生中にフォルダを切り替えたい場合には「オプション」から「フォルダ」を選択する(メニューボタン長押しでも「フォルダ」は呼び出せる)。ID3タグに対応していないので、曲選択に際してこれ以外の手段は用意されておらず、アーティスト名や楽曲名からの選択は行えない。
Creative Media LiteやiTunesならばCDリッピング時にファイル名の冒頭に「01」「02」という数字を付けることができるので(iTunesについては「トラック番号付きのファイル名を作成する」のチェックボックスをオンにする必要がある)、これらで作成したファイルを再生する限りアルバム収録順の再生は問題なく行えるが、ID3タグでファイル管理しているライブラリから本製品へ楽曲を転送すると、ファイル名順の再生になってしまう。これはいただけない。
再生中は上下キーで音量調整、左右で曲の送り/戻しが行える一般的なインタフェース。再生モードはフォルダ名/ファイル名順に再生する「ノーマル」のほか収録曲すべてをシャッフル再生する「シャッフル」、フォルダ単位でシャッフルする「単位シャッフル」の3つ。「ポップ」や「ロック」など4つパターンのプリセットイコライザーのほか、5バンドイコライザーも用意されている。
再生開始と一時停止は側面のボタンで行うが、ボタンそのものが小さいので、やや手探りでは操作しにくく感じることもあった。この点については、前面中央のボタン再生/一時停止に割り当てられているZEN STONEの方が操作しやすいと思う。
付属イヤフォンは柄の部分が長い独特の形状で、突出した部分こそないものの全域に渡って安定したサウンドを奏でる。さすがに高音の伸びや解像感といった部分では単体販売されている1万円クラスのイヤフォンに比べると劣るが、安価な製品に付属するものとは思えない。音の全体的な傾向はZEN STONEと同様、力強さと解像感を前面に押し出したものだが、ややマイルドさが増しており、音楽ジャンルを問わないキャラクターが加味されている。
ZEN STONEは音楽再生以外に機能をまったく持たない製品だが、本製品はFMラジオのほかボイスレコーティングなどの機能が追加されている。ユニークなのが時計/ストップウォッチ機能で、別売のリストバンド(ZN-STPWB-BK)やアームバンド(ZN-STPAR-BK)と組み合わせればジョギングなどエクササイズ時のアイテムとしても利用できそうだ。
本製品ではディスプレイを搭載して利用者へより多くの情報を伝達できるようになったが、FMラジオやボイスレコーディング機能なども同時に搭載されたため、ZEN STONEの持っていた割り切りともいえるシンプルさはやや損なわれてしまっているようにも感じられる。
最もそれを顕著に感じるのがフォルダの移動。本製品ではボタンを押してメインメニューを呼び出し、その後に「オプション」――「フォルダ」とたどる必要がある。確かにメモリ容量が増加しており、ディスプレイも搭載しているので方法としては間違っていないが、ZEN STONEのシンプルさに比べると一手間かかる印象はぬぐえない。
そうした意味では本製品のライバルはiPod shuffleではないと言える。iPod shuffleは液晶を廃し「再生すること」だけに特化した製品だが、ディスプレイを搭載した小型軽量の低価格帯製品としては日本サムスンの「YP-U3」やアイリバーの「T60」などが存在しており、本製品のライバルはむしろそちらになるだろう。
とはいえ、これだけのミニサイズを実現した製品は数少なく、有機ELディスプレイと2Gバイトのメモリを搭載しながら9800円(直販価格)というのは高い競争力を持つことは間違いない。加えて、リスト/アームバンドやジャケット、携帯電話サイズのポータブルスピーカーなどオプションも豊富。本体カラーもブラック/ホワイト/ピンク/ダークブルー/レッド/ライムグリーンの6色が用意されており(レッドとライムグリーンは直販サイト「クリエイティブストア」のみでの販売)、選ぶ楽しみは多い。
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