一方、SD解像度のコンテンツはどうだろう。DVDレコーダーをコンポーネント接続してみたところ、DVDビデオは不満のないレベルだったが、DVDレコーダーでアナログ放送を録画した番組などは、少々眠たい印象になるのは否めなかった。ただ、その際も「ノーマル」表示(ズームなし)にして映像モードを設定でコントラストを強めにすると、かなり改善される(「あざやか」モードでもいい)。実際、以前取り上げた26インチクラスに比べるとアラは出にくい印象だ。なお、画質設定は「あざやか」「スタンダード」「シネマ」にくわえユーザー設定を保存しておく「ユーザー」がある。
面白いのは、チャンネル切替時などに画面に表示されるチャンネル番号だ。地上デジタル放送では、メインの局番号を2桁で、またその横にサブチャンネルを表記するのが一般的。たとえば東京でNHK(01)を選局する場合は「011」「012」……といった3桁の番号になる。しかし、同機ではチャンネル番号が「1」で、その横に「サブチャンネル1」などと文字サイズを変えて表記するスタイルを採用した。つまり、NHKは「1」(東京の場合)など、アナログテレビと同じ感覚で使えるわけだ。あとは、もう少しチャンネル切替が素早くなることを期待したい。
もちろん“デジタル放送ならでは”の利便性も享受できる。たとえばEPG(電子番組表)。4局/3時間分を一覧表示して、番組を選択して決定ボタンを押すと番組詳細情報が現れる。日時を指定してとぶことはできるが、検索機能などは持たない。とにかくユーザーインタフェースがシンプルで飾り気がないため、ほかの製品のEPGを見慣れていると寂しい印象も受けるが、必要最小限の機能はおさえている印象だ。
入力端子は3系統。1080P対応のHDMIにくわえ、コンポーネント、コンポジットの計3系統が用意されている。コンポーネントで代用できるD端子はともかく、S端子がないあたりは大胆に“割り切った”ポイントだろう。なお、HDMIにはPC接続時(DVI変換コネクタを使用)に便利なアナログ音声入力が付いていた。
設定画面では、それぞれの入力端子を「DVDレコーダー」「CATV」などに名称変更できる。また使っていない端子は“スキップ”に設定することで、入力切替ボタンで順送りする際にスキップさせることも可能だ。
最近の薄型テレビは、目新しさ重視の多機能化が進んできた。もちろん画質など基本性能の底上げは大歓迎だが、デジタル放送の双方向機能のように、あまり使う機会のない機能が増えていることも確かだ。必要ないと思う機能に安くない金額を支払うことに疑問を感じている人も多いのではないだろうか。
ハイビジョン対応の液晶テレビでありながら、仕様をシンプルにして低価格化を図り、一方でアナログテレビ的な使い勝手を持つ「TL19TX1」は、そんな高機能化路線に対するユニデンなりのアンチテーゼかもしれない。高機能機を求めるユーザー層の選択肢にはなりえないが、一人暮らしを始める学生や個室に置く“2台目”として必要最小限の機能を持ち、中高年層にも分かりやすい。実際、同機の仕様で十分というケースはかなり多いはずだ。
余談になるが、先日、2011年のアナログ停波に備えて監督省庁が大手家電メーカーに外付けデジタル地上波チューナーを発注したと話題になった(メーカーは否定)。しかし、個人的には安いデジタルチューナーを大量生産するより、アナログテレビを気軽に置き換えられるシンプルで低価格な薄型テレビが増えた方が移行は促進されるように思えてならない。ユニデンが同機を「2011年のスタンダード」という言葉で表現した背景には、そうした考えがあるのかもしれない。
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