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携帯向け衛星サービスの起爆剤?――モバHO!対応「U:MO」レビュー(2/3 ページ)

» 2007年07月27日 13時00分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 本製品のモバHO!関連機能について言及する前に、モバHO!そのものについて説明する必要があるだろう。

 モバHO!は2004年10月からサービスを提供している移動体向けの有料衛星放送で、周波数帯は2.6GHz帯を利用する。携帯機器向けサービスという面ではワンセグ放送に近い性格を持つが、衛星放送であるため全国で同一のコンテンツを受信できる(地域性がない)というメリットがある。

 放送されているコンテンツもワンセグ放送と大きく異なる。有料放送であるため、「MTV」や「アニマックス」、「グリーンチャンネル」など地上波では見られないチャンネルが視聴できる。チャンネルは映像系/音声系/データ系と3つのタイプが用意されており、それぞれ8チャンネル/40チャンネル/2パックが用意されている(データ系は複数のチャンネルをまとめたDパック/JFチャンネルの2つ)(チャンネル一覧)。なお、本製品はデータ系放送の受信には対応していない。

 ただ、衛星放送であるために東経144度、高度3万6000キロにある静止衛星(MBSAT)からの電波を受信できる場所に本製品がないと視聴できない。日本から見るとMBSATは南から東南方向、地上からの角度(仰角)は40〜50度の範囲で見えるので、この方向に視界が開けていれば受信可能と言うことになる。

photo モバHO!受信時のスタイル

 本製品でモバHO!を視聴するにはアンテナをセットし、メインメニューから「モバHO!」を選択すればよい。「受信を開始します」という表示の後、受信可能な圏内に本製品があれば、チャンネルリストが表示される。リストが表示された状態でD-clickの上下でチャンネル選択、右で決定が行える。

 携帯電話によるワンセグ放送視聴よりも、受信開始までのタイムラグやチャンネル切り換えテンポが少し遅いのは気になるが、これは衛星放送である以上仕方ないだろう。それにラグがあるといっても、分単位で待たされるわけではない。最も待たされる受信開始時でも10数秒だ。

 受信中は画面上に現在時刻と電波状況、バッテリー残量が、画面下には受信中のチャンネル名と番組名が表示される。これは非表示にすることも可能だ。なお、モバHO!視聴時のバッテリー持続時間は映像受信時で約2時間20分、音声番組の視聴時で約3時間となっている。

photophotophoto チャンネルリスト(左)、受信中の画面(中)、時刻やチャンネル名は非表示にも切り替えできる(右)

 まずは世田谷区の自宅と丸の内のオフィスで受信を試みたところ、南側に窓がある自室では問題なく受信できたが、東側にしか窓がないオフィスでは受信できなかった。丸の内はビル街であることから方角よりも周囲の建物が影響を及ぼしていると考えられるが、モバHO!では、ビルの陰など衛星の電波が入りにくい場所でも受信できるように「ギャップフィラー」と呼ばれる再送信装置が設置されているはず。同社Webサイトでも都内中心部は「設備設置済み」とされていたが、オフィスでは窓際まで移動しても受信できなかった。

 ただ、再送信装置が設置されているエリアであっても、「トンネル・地下・建物内奥・高層ビル内等の閉空間では受信できない場合があります」と同じく同社Webサイトに注意書きが添えられており、オフィス内は残念ながらこの条件に当てはまってしまったようだ。

 本製品を手に都内を移動してみたところ、地下街や地下鉄構内など天井が完全に覆われているエリアを除くとかなりの場所で安定した視聴が可能なことが確認できた。高層ビルが建ち並ぶ西新宿の副都心でも屋外ならば安定した受信が可能であり、電車に乗った状態でも、電車がトンネルに入るなどしなければ走行中も受信できることが確認できた。ただ、一度受信圏外になってしまった後に、再受信するまでのタイムラグはワンセグより長い印象だ。

photophotophoto 西新宿のビル街でも屋外なら受信は安定(左)、地下の駅構内を歩いている間は受信できなかったが開けたところまで出れば受信する(中)、地下鉄の構内は完全にアウト(右)

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