それでは実際のサウンドをチェックしよう。
今回の試聴には、オーディオ再生専用機と化しているノートパソコン(コンパックM300)を使い、内蔵サウンドカード(ESS Technologies Maestro2E(ES1978))のライン出力で鳴らしてみた。曲は、MP3は宇多田ヒカルの「DEEP RIVER」から「traveling」、WMA(e-onkyo musicの96/24kHz)は綾戸智絵「SEVEN」から「Desperado」と小林研一郎指揮「ベートーベン交響曲第9番」の第1楽章、WAVはノラ・ジョーンズ「Come Away with Me」の「Seven Years」、ニルヴァーナ「You Know You're Right」、溝口肇「Espace2」の「Dearest」を使った。
見まごうことなき高級ブックシェルフスピーカーの音。しかもディナウディオらしく、中域にしっかりした力強さをもつ。そのためボーカルが男性、女性ともに生き生きとしており、綾戸智絵、カート・コバーンともに良好。歌声に充分「魂」を感じとることができる。ロックやジャズ、ボーカルを中心に聴く人にとっては、ベストな選択肢となりうることだろう。
これらは一昨年リニューアルされた「ESOTEC」ウーファーの恩恵だろう。新ユニットは音質的なクオリティ向上はもちろん、動きが軽快になり既存モデルのようなパワーアンプを選ぶ気難しさがほとんどなくなったことをカーオーディオ用ユニットで確認済みだったが、それでも一般的なブックシェルフスピーカーと同じユニットが、電源部をオゴっているとはいえ内蔵アンプでどこまで実力を発揮できるのか多少の不安はあった。MC15のサウンドは、そんな気持ちを一瞬のうちに吹き飛ばしてくれる元気さ、力強さをもつ。これだけ気持ちよく鳴ってくれると、ついつい音楽に没頭してPCを操作する手が止まってしまいそうだ。
いっぽうクラシックは、解像度の甘さゆえか低域の伸びが弱いためか、フルオーケストラはロック、ジャズほどのベストマッチ感はない。ただし溝口肇のような小編成では充分聴き応えのある音楽を奏でてくれるので、どんなジャンルでもそれほど不満を持つことはないだろう。
全体的にパフォーマンスの高いMC15だが、気になったのは最低域の弱さだ。デスクトップ用として使うにはほとんど不満はないものの、欲をかいてリビングルーム用スピーカー的な配置をすると気になってくる。そういった使い方にはやはり、SUB250mcが必要となってくるようだ。
また今回の試聴では、パソコンおよびスピーカーを幅110センチ×奥行き60センチ程度のテーブルに置いてベストなポジションを探ってみた。MC15にはスピーカーを斜め置きにする専用スタンドが付属することもあって、位置や角度による音質的な変化はかなり少なく、設置場所の自由度は高かった。セオリー通りスピーカーは鳴るべく離した方がベストだが、環境が許さない場合など、モニターのすぐ脇に置いてもそれほど不満を持たないはずだ。
MC15はとにかく楽しい音が魅力。そのサウンドも「PC用」と呼ぶには抵抗があるほど上質なものだ。本格的なホームオーディオを持つ予定はないけれども良い音を楽しみたい、PCミュージックを高音質で楽しみたいという人には、もってこいの選択肢となるはずだ。
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