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第78回 花火とはかなさの関係今日から始めるデジカメ撮影術(3/4 ページ)

» 2007年08月09日 08時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

手持ち花火の華はやはり線香花火なり

 線香花火の真髄は花火の質にあり。実は去年も線香花火の撮影を何度か行ったのだが、どうも思ったように火花を散らしてくれなかった。

 線香花火の風情は、長細い火薬が燃えながらすすっと上がって火の玉になり、そこから間欠的に火花が飛び出し、数秒後に息絶えるが、時には火玉が重さに耐えきれず生を全うすることなくポトリと落ちて散る。そのはかなさがいいのである。

 火花の出方も1本1本で異なっており、そこもまたよい。

 が、最近の安い線香花火はきれいな火玉ができずに落ちることも多く、たまに火玉ができても大して火花を飛ばさずに消えてしまう。それでは線香花火ならではの満足感が得られない。

 そこで今回は特別に「純国産の高級線香花火」を用意してみた。

 これがもう、安い(たいていは中国製)線香花火とは全然違う。火花の出方はきれいだし、火玉もきれいにできるし。もっとも値段も10倍以上違うのだけれども。

 線香花火の持ち方だが、柔らかい「こより」に火薬が入っているので、真上からぶら下げるように持つ人が多いと思うが、実際には45度の角度でやや斜めに持つのが一番よいらしい。

 45度だとこの写真よりさらに斜めに持つ感じかな。しかし、いい花火でも油断をしてると火玉がポトリと落ちちゃうこともある。

落ちた瞬間のあ然とした顔が面白かったので載せてみました

 では花火の写真を。線香花火は非常に火花が細いので、シャッタースピードも遅くしてアップで撮ってみた。

アップで撮ると細部も分かる
火玉が落ちる軌跡も写ったりする

 アップで撮るときに難しいのはやはりピント。どうしてもピントのあう範囲が狭くなるので、微妙なブレで外れてしまう。

火玉ではなく、火花の端にピントが合ってしまった

 この2つは火玉ではなく、火花の端にピントがあってしまった。火玉にピントをあわせて撮ったのだが、ピントをあわせたときと撮影の瞬間で花火が動いてしまった(線香花火はやわらかいこよりなのでちょっとしたことで動いてしまう)ためだ。

 もうひとつの注意点は露出補正。線香花火のようにはかなげな花火は普通に撮ると、明るく撮れすぎてしまう。暗い闇に火花だけがきれいに見えるよう撮りたいときは、マイナス1〜2の補正をかけてやるといい。今回の線香花火写真はすべてそうしている。

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