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VGAに進化したHMD「iTheaterV」でニヤニヤと楽しむレビュー(1/2 ページ)

» 2007年08月15日 06時55分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 その歴史の長さの割に、メジャーになりきれない製品ジャンルというものが存在する。斬新な技術の発明とともに登場したが実用途が思ったより広がらなかったもの。市場の変化によって図らずもニッチな製品となってしまったもの。見込んでいた量産効果が得られなかったもの。さまざまな要因が存在するが、「モノとしては面白いが、一般的ではない」という位置づけから抜け出せない製品たちだ。

 HMD(ヘッドマウントディスプレイ)と呼ばれる製品もそうしたジャンルに該当するだろう。一般的には半透明ディスプレイやメガネ型のデバイスを利用して、視線を動かすことなく映像情報を読み取れる製品を指し、ウエアラブルコンピュータの表示デバイスとしても期待されたが、一般的な家庭向け製品として定着しているとは言い難い。

 ただ、眼前の映像を映し出すために広いスペースがなくとも大きな画面を見ているような感覚を得られることから、ソニーやオリンパス、キヤノンといった国内メーカーからも「プライベートシアター」としての用途を提案する製品が多く発売されてきた。しかし、登場が早すぎたのか、大画面を独り占めするという用途が受け入れられなかったのか(価格も無視できない要素だ)、一般化するには至らず、新製品も絶えて久しかった。

 そんな中、美貴本Beansから「iTheaterV」が登場した。サングラスのように両目を覆ういかにもなHMDだが、2006年7月に同社が販売開始した「iTheater」よりもコンパクトなボディで大画面、高精細化を実現しているという。どれほどの実用性を持つか、試用してみた。

photo iTheaterV

 本体サイズは170(幅)×187(奥行き)×27(高さ)ミリ。HMDの常として前方に向かって厚みのあるサングラスのような外観だが、デザインとしてはスッキリとまとまっており、好感が持てる。ツルにあたる部分にはカナル型イヤフォンも一体化されているが、重量も70グラムと軽量だ。

photophoto レンズにあたる部分は前方に約38ミリ張り出している(左)、カナル型イヤフォンが一体化している(右)

 搭載されている液晶パネルのサイズはiTheaterと同じく2インチだが、解像度はQVGA(320×240)からVGA(640×480)へと大幅に引き上げられている。画素数で言えば4倍に向上しているほか、装着時の視聴スクリーンサイズも約50インチから約65インチ(利用時、2.5メートル先に見える画面サイズ)へと大型化されている。

photophoto

 本体は純粋なディスプレイ装置という位置づけであり、本製品の利用時にはバッテリーを内蔵したコンバーターを組み合わせる必要がある。コンバーターも本体同様にシンプルな作りになっており、インタフェースは添付ケーブルを利用するAV-INと、HMD本体への出力のみだ。USB(ミニB)も用意されているが、これは内蔵バッテリーの充電にのみ用いる。バッテリーによる連続駆動時間は約4〜5時間。

photophoto シンプルかつ小型のコンバーター。サイズは38(幅)×98(奥行き)×11.5(高さ)。スイッチ類は電源と音量のみ
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