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VGAに進化したHMD「iTheaterV」でニヤニヤと楽しむレビュー(2/2 ページ)

» 2007年08月15日 06時55分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 まずは本体をそのままかけてみる。液晶パネルを搭載するために重心がやや前方に位置するようで、通常のサングラスやメガネをかける感覚でいると思わぬ重量感に少々面食らう。一体化されたカナル型イヤフォンのケーブルにはカール処理が施されており、利用時に耳の周りでコードがブラブラすることがないのはよいアイデアだと思う。

 本製品のパッケージにはRCA用のAVケーブルとiPod用のケーブルが付属する。DVDプレーヤーやゲーム機、テレビなどと組み合わせて「プライベートシアター」として利用はもちろんだが、iPodに転送した動画ファイルの視聴も楽しめるため、「モバイルシアター」としての活用も可能だ。

 まずは家庭用DVDプレーヤー(東芝 RD-XS53)、ゲーム機(プレイステーション2)と組み合わせてみた。同種製品としては高解像度なVGAパネルを搭載しているせいか、意外なほど映像は鮮明だ。さすがに字幕や番組中のテロップは読みにくく感じるが、判別できないと言うほどではない。ただ、ゲームはテレビよりも細かな文字が多いせいか、目を凝らさないと見にくい場面もしばしば見受けられた。

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 パネルの反応速度も十分で、アクションゲームをプレイしても残像が見えることはないが、色再現性や画質についてはさほど期待できない。全体的に彩度が低く、明暗のコントラストもさえない。1世代前のデジカメの液晶ファインダーをのぞいているような感覚といえば近いだろうか。本製品は「2.5メートル先に65インチの大画面」をうたうが、「65インチスクリーンにVGA解像度のプロジェクター」と考えれば、鮮明さに欠けるのも納得できる。

photo 利用中。装着した状態で眼前に映像が映る構造となっているため、このように離れてしまうと映像の内容はまったく判別できない

 ただ、利用中には画面以外がほぼ視野から閉め出されるため、没入感は非常に高い。普段からハイビジョン映像を見慣れていると最初はシャープさに乏しい映像に落胆するかも知れないが、次第に映像の迫力に圧倒されている自分に気が付く。カナル型イヤフォンによって、音声がすぐ耳の近くから発せられる影響もあるのだろう。

 iPodと組み合わせた際も製品に対する印象は変わらない。ただ、再生機器にiPodを選択すると完全なウェアラブルが完成する。コンバーターのコンパクトさをありがたく感じる瞬間だ。構造上、外部への視野がほぼ完全に絶たれてしまうので歩行中の利用は危険だが、電車内などでお気に入りのPVなどを見ながらニヤニヤするのは十分可能だ(外部からの視線も遮断してしまうことには注意)。

 これは個人差の範囲内かもしれないのだが、装着時に本体が少しズレてしまいがち。頭を振るような動作をすると本体が前方へズレていき、何度か歯がゆい思いをするハメになった。もう少し筆者の鼻が高ければよかったのかのかも知れないが、鼻当て部分の素材や、ツルの長さ・形状には改良の余地があると思う。

photo ニヤニヤ

 本製品の価格はオープンで、実売想定価格は4万1790円前後。正直、気軽に購入するには少々高価といわざるを得ないが、VGAという実用的な解像度を備えたホームユースHMDとして考えれば安価ともいえる。(同社からはSVGA対応製品として「Z800 3D ZOOM」なども販売されているが、Z800 3D ZOOMの同社直販価格は24万6750円)。場所の関係でホームシアターは設置できないが、どうしても没入感の強い映像環境が欲しい、どこでもお気に入りの映像でニヤニヤしたい、そうした時の強い味方になってくれそうだ。

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