日本ビクターは10月2日、同日から開幕したCEATEC JAPAN 2007の会場で記者会見を実施。経営改革の推進状況やCEATECの出展内容、そして経営立て直しに苦戦している同社の“再建のカギ”となるディスプレイ戦略について佐藤国彦社長が語った。
3年連続の当期純損益赤字など経営面で窮地に立たされている同社だが、佐藤社長は「ビクターの強みは常に先進性を求めるマインドを持つ技術集団であること、そしてグローバルな開発・生産・販売網とブランド力、さらにハードとソフトを持つ企業としての連携・シナジー。これらの強みを生かすべく、これまでの『技術のビクター』から、市場ニーズ対応を強化した『技術とマーケティングのビクター』へと基本路線を修正していく」と語り、今年6月に社長就任した同氏による新体制・新生ビクターをアピールする。
佐藤社長が掲げる最大の事業戦略は「ディスプレイ事業の再建」。民生AVの中核商品として、液晶テレビとD-ILAプロジェクターに注力していくという。そのキーワードとなるのが“プレミアムディスプレイ”だ。
同社の今年のCEATECでの出展コンセプトは「Being There(臨場感)」。その臨場感を高める新技術としてブースで話題をさらっているのが、初公開のディスプレイ「スリムLCD」だ(ブースの詳細は別記事:ビクターは一足先に「次世代液晶」を参照)。
LCDモジュールを従来サイズ(厚さ35.3ミリ/額縁幅22.4ミリ)から厚さ20ミリ(従来比56.7%)/額縁幅13ミリ(同58%)にスリム化。参考出品された「スリムLCDテレビ」は最薄部が37ミリ(奥行き72ミリ)という“超薄型”を実現している。
薄型化のブレイクスルーとなったのは、自社開発のスリムバックライト。LCDモジュールはLCDとバックライトで構成されており、その厚さはバックライトで決まるといっても過言ではない。同社は、拡散効率と輝度を両立させた薄型の拡散光学系を新規に開発。またフリンジ部の最適設計により、狭額縁化(狭ベゼル化)というもう1つのスリム化も実現した。
この「スリムLCDテレビ」を筆頭に、同社独自のD-ILAデバイスを使った次世代フロントプロジェクター、リアル32ビット映像処理の次世代高画質エンジン、180Hz駆動の3倍速「GENESSA」などといった同社オンリーワン技術を発揮したディスプレイを“プレミアムディスプレイ”と位置づけ、高付加価値で高品位なディスプレイ群を他社に先駆け商品化することで、激戦のディスプレイ市場で差別化を図ろうというものだ。
「プレミアムディスプレイは、高品位な画質・音質・デザインで新しいスタイルを提案する新世代ディスプレイ。たとえばスリムLCDテレビは、その薄さと狭額縁によるレイアウトフリーを生かして、映像だけがリビング空間に浮かぶという新しいライフスタイルも提案できる。液晶テレビのフラッグシップとして、スリムLCDをグローバル展開していく」(佐藤社長)
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