ITmedia NEWS >

一発の銃弾がつなぐ、孤独な人々の魂――「バベル」新作DVD情報

» 2007年10月09日 09時36分 公開
[本山由樹子,ITmedia]

バベル スタンダード・エディション

photo
(C)2006 by Babel Productions, Inc. All Rights Reserved.

 人はなぜバラバラの言葉を話すようになったのか……。旧約聖書は、天まで届くようなバベルの塔を作った人間に怒り、神が行ったのだと説明する。アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督がモロッコ、アメリカ、メキシコ、日本の4つの国で起こる事件を巧みに連鎖させ、バベルの末裔である現代人のコミュニケーション不足を描いた衝撃作「バベル」が、11月2日にDVD、HD DVD、Blu-ray Discの3フォーマットでリリースされる。

 DVDはスタンダード・エディション(3990円)とプレミアム・エディション(5985円)の2種類。プレミアム・エディションは特典ディスク付きの2枚組。監督自身が監修した87分のメイキング“COMMON GROUND:under construction notes”、特報、予告、TVスポットを収録。36ページのオールカラー・ブックレットと豪華アウターケース付き。なお、プレミアム・エディションのみ英語DTS音声を収録している。

 HD DVD、Blu-ray Discは本編ディスクのみの1枚組で、特典映像は特報、予告編、TVスポット。価格は各4935円。

 物語の発端はモロッコ。山間の村に暮らす父は、一挺のライフルを手に入れて、2人の息子に与えた。生活の糧であるヤギを守るためだ。試し撃ちをした弟の銃弾が、山道を走るバスを貫く。撃たれたのは、夫婦の絆を取り戻そうと夫リチャード(ブラッド・ピット)と旅するアメリカ人のスーザン(ケイト・ブランシェット)だった。

 スーザンは重傷を負い、彼らの帰国が遅れたことで、幼い子供たちは乳母とともに彼女の故郷メキシコへ向かう。捜査の結果、ライフルの書類上の持ち主は、東京で耳の不自由な娘(菊地凛子)と2人暮らしをしている会社役員(役所広司)だと判明する。

 カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞し、アカデミー賞でも、作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、作曲賞、助演女優賞(菊地凛子とアドリアナ・バラッザ)ノミネートで世界中の話題をさらった。特に、日本では凛子さんの話題が先行し、内容はかすみがちだったが(もちろん、凛子さんはアカデミー賞に値する演技!)、作品自体の存在感が素晴らしい。

 人間が人種や言葉の壁を乗り越え理解しあうことの難しさ、誰ともうまく通じ合うことのできない孤独といった、世界各地で陥っているコミュニケーション断絶を、痛切に、それでいて僅かな希望とともに描いた必見作である。それにしても、人に気持ちを伝えるのは難しいですね。

関連サイト:http://babel.gyao.jp/(公式サイト)

この作品を購入したい→amazon.co.jp


バベル スタンダード・エディション
発売日 2007年11月2日
価格 3990円
発売元 ギャガ・コミュニケーションズ
販売元 ギャガ・コミュニケーションズ
スタッフ 監督・原案:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ/原案・脚本:ギジェルモ・アリアガ
出演 ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子
上映時間 143分(本編)
製作年度 2006年
画面サイズ ビスタサイズ・スクイーズ
ディスク仕様 片面2層
音声 (1)ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語 (2)ドルビーデジタル/2.0chステレオ/日本語
特典 なし

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.