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KDDI×ソニー、着うたフルをウォークマンで楽しむ新プロジェクト

» 2007年10月16日 14時33分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 KDDIとソニーは10月16日、音楽配信サービス「LISMO」とHDDコンポ“NET JUKE”やポータブルオーディオ“ウォークマン”を連携させるなど、携帯電話/PC/AV機器の境界を越えることを目指すプロジェクト「au × sony “MUSIC PROJECT”」を12月以降に開始すると発表した。

 プロジェクトの大きな柱は、「着うたフルの携帯電話以外でのリスニング」だ。これまでFMトランスミッターやBluetoothなどの手段でしか着うたフルを携帯電話の「外」で活用できなかったが、新プロジェクトではPCやミニコンポでも着うたフルを楽しめる環境を提供していく。

photo 「au × sony “MUSIC PROJECT”」の概略

 KDDIの新しい携帯電話向けPC用統合管理ソフト「LISMO Port」には、SonicStage CPをベースとする楽曲管理機能が搭載されており、対応端末でダウンロードした着うたフルをPC経由でウォークマンへ転送できる。また、LISMO Portからレーベルゲートの提供する音楽配信サービス「mora for LISMO」へアクセスし、そこで購入した楽曲を携帯電話へ転送することも可能だ。

 提供開始時期は未定だが、新プロジェクト対応端末の発売にあわせてダウンロード提供される予定だ。楽曲管理機能はSonicStage CPとほぼ同等だが、着うたフルで購入したファイルのCD作成は行えない点が大きく異なる。また、「au Music Port」で不評だった、携帯電話を接続していないとPCにバックアップ(転送)した楽曲が再生できないという難点は解消された。

photo 新たな統合管理ソフト「LISMO Port」

 対応携帯でダウンロードした着うたフルをPCレスで運用することも可能となる。ソニーのHDDコンポ“NET JUKE”へバックアップすると同時に対応ウォークマンへ転送できるほか、ネットワークサービス「AnyMusic」からの購入楽曲を含む、コンポに蓄積された各種の楽曲を携帯電話へ転送することも可能だ。対応するNET JUKEは「NAS-D55HD」「NAS-M75HD」「NAS-M95HD」の3機種だが、本機能の利用については12月に実施予定のアップデートを行った後となる。

photo W54SAでダウンロードした着うたフルをNET JUKEを経由してウォークマンへ転送

 これらの機能連係に対応する携帯電話は「W54S」「W54SA」「W56T」の3機種。対応ウォークマンは現行機種「NW-A910」「NW-S610/S710」「NW-E010」のほか、「NW-A800/A600」「NW-S700/S600/S200」「NW-E000」、「NA-A3000/A1200/A1000」といった機種にも対応する。

photophotophoto 「au × sony “MUSIC PROJECT”」に対応する3機種。左から「W54S」「W54SA」「W56T」

 着うたフルは独自の著作権管理処理が施されたHE-AACで配信されているが、新プロジェクトが開始されてもここは変わらない。ただし、ウォークマンへの転送に対応するため、新たにOpenMGによる著作権管理処理も追加される。楽曲データにOpenMGをON/OFFするフラグが埋め込まれ、これをNET JUKEあるいはLISMO PortでONとすることでウォークマンへの転送を可能としている。

 NET JUKE/LISMO Portからウォークマンへ転送する際にはOpenMGを利用したチェックイン/チェックアウトのカウントが行われるが、この回数は楽曲の設定に依存する。また、HE-AACに対応しないウォークマンについてはATRACへの変換も同時に行われる。ちなみに、AnyMusicではATRACで楽曲が配信されているが、W54S/W54SA/W56Tの3機種はATRACの再生に対応するためにファイル形式の変換は行われず、そのまま転送される。

photo 新プロジェクトにおける携帯/PC/コンポの関係。携帯電話でダウンロードした着うたフルは電話番号にひもづけて管理されており、最大3台のNET JUKEあるいはPCへコピーできる

 新プロジェクトの狙いについて両社では「携帯だけでは音楽の利用シーンのすべてをカバーできない」(KDDI 取締役執行役員常務 コンシューマ事業統轄本部長 高橋誠氏)、「携帯向け音楽配信の市場はCDシングルのそれに匹敵するほどへ成長してきた。携帯電話から購入した楽曲をネットジュークやウォークマンで楽しめるようにする」(ソニー 業務執行役員 SVP オーディオ事業本部 本部長 吉岡浩氏)と説明する。

 もっともな疑問として、なぜKDDIとソニーが協力関係を結んだかというものがある。両氏は携帯/PC/AV機器の垣根を越えるというイメージを実現するために最適なパートナーとしてお互いを選んだというが、必ずしもその関係は排他的なものではないようだ。

 「コラボレートの際にはオープンマインドなのが成功の秘訣だと思う。ソニーとの関係は排他的なものではない」(高橋氏)、「排他的ではないが、ビジョンが共有できているので一緒にやっていきたいと思っている」(吉岡氏)

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