一般的な液晶テレビでは、表面にノングレア処理が施されている。これは、液晶表面の偏光フィルム層にわざと凹凸を作り、外から入ってくる光を拡散(乱反射)させることで映り込みを抑えるというもの。映り込みは気にならないレベルになるが、外光が表面で乱反射することで画面全体が白っぽく見えたり、暗部の浮き上がるといったデメリットもある。
また、パネルの内側から出る光――つまり映像自体も表面の凹凸で拡散してしまうため、解像度が低下したように見えたり、映像の質感が低下するなどの難点があるという。
一方、MZWシリーズに採用された光沢コートは、偏光フィルムの表面が平坦だ。つまり「パネルの内側から出た光(映像)が邪魔されずに(拡散せず)目まで届く。コントラストの向上にくわえ、暗部の再現力や色再現範囲の拡大など、画質面のメリットは大きい」(吉田氏)。
確かに「DIAMOND Panel」を搭載したMZWシリーズの暗所コントラストは3000:1、一般的なリビングルームを想定した照度200ルクスの環境でも1200:1のコントラスト比を実現している。従来の液晶パネルと比較すると差は顕著だ。
実際に部屋の灯りを落として従来の液晶パネルと見比べると、画面からベールを1枚はぎ取ったような印象を受ける。コントラスト感は高く、従来の液晶テレビと比較して黒が沈み、解像感も高い。液晶ならではのリニアリティが強調されたように感じた。
「表面の外光反射を抑えたことで、明るい場所でも画面の白浮きが抑えられ、色の再現範囲も従来のように狭くならない。これが液晶本来の映像」(同氏)。
ただ、部屋が明るくなったとき、自分の顔が映り込んでハッとさせられたことも事実だ。昨年までのプラズマテレビに近い印象で、映画を見るときは部屋の灯りを落としたほうが無難だと感じる。
いずれにしても、ここまでメリットとデメリットが明確で、好みが分かれそうな液晶テレビは珍しい。さらに加えるなら、画質的なメリットは画面の前に腰を据えなければ理解しにくい。同氏は「画質にこだわる人たちに買ってほしい」というが、店頭でどこまで訴求できるかが課題になりそうだ。
店頭でMZWシリーズを見かけたら、まず光沢液晶パネルに対する既成概念を頭の中から追い出し、画面に向き合ってみることをお勧めしたい。好む、好まざるにかかわらず、液晶テレビの常識を覆した光沢液晶パネルには一見の価値があるからだ。
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