シャープ やビクター の次世代テレビ、そして日立製作所“Wooo”「UTシリーズ 」の発表などでにわかに注目される“超薄型液晶テレビ”。横浜・みなとみらいのパシフィコ横浜で開催中の「FPD International 2007」では、シャープが試作機の1つである「屏風」を展示して常に人垣が絶えないほどの注目を集めている。しかし、他社も負けてはいない。
シャープブースでは「屏風」が大人気。薄型テレビで室内の空間を仕切るという新しい提案で、これもテレビが超薄型になればこそ。一方、残念ながら日立ブースにUTシリーズは展示されていなかった
何かと“世界一”が好きなサムスンは、やっぱり展示していた。
「The World's Thinnest LCD TV」は、40インチの画面サイズがありながら厚さは約1センチという「Ultra Slim 40" TV」だ。バックライトをLEDにして「(従来の)CCFL(冷陰極管)を液晶パネルに近づけると明るさにムラができる問題を根本から克服した」(同社)。そのほかのスペックは、解像度が1920×1080ピクセルで、輝度は450カンデラ。LEDバックライトの採用による最大90ワットという省エネ性能も特徴だ。
サムスンの「The World's Thinnest LCD TV」。厚さはわずか1センチ。色域はNTSC比92%
また従来のCCFLを使ったウルトラスリム液晶もあった。こちらは32インチWXGAで、パネル部の厚さは20ミリ。パネルモジュールの厚さでいえば、日立製作所のUTシリーズと肩を並べることになる。
一方、LG電子も32インチのスリム液晶パネルを展示した。厚さは14ミリとさらに薄いが、バックライトは白色LEDだ。コントラスト比は1500:1、輝度は450カンデラ、NTSC比92%の色域を持つ。液晶モジュールの重量は5.3キログラム。一般の家庭でも大げさな補強工事なしで“壁掛けテレビ”ができそうなレベルに仕上げた。
サムスン(左)とLG電子(右)のスリム液晶。バックライトは異なるが、どちらも薄い
自発光の有機EL方式などのほうが薄型化に有利なのは確かだが、大画面化という点でまだ液晶には及ばない。リビングルーム需要の主力が40インチ以上にシフトしつつある現在、液晶テレビの薄型化と軽量化が“壁掛けテレビ”浸透のカギを握っている。
「FPD International 2007」の開催期間は26日金曜日まで(10時〜17時)。入場料は2000円となっている。
日立、厚さ35ミリの超薄型液晶テレビ“Wooo”「UTシリーズ」を発表
日立製作所は、厚さ35ミリという超薄型液晶テレビ“Wooo”「UTシリーズ」を12月中旬から順次発売する。チューナーとモニターを分離した2ユニット構成。またUWB伝送や壁掛けユニットといったオプションを用意し、テレビの新しい視聴スタイルを提案する。
ビクターは一足先に「次世代液晶」
ビクターブースの注目は、42V型でパネル最薄部20ミリ、本体奥行き37ミリの「スリムLCDテレビ」。「薄型液晶」の開発をアピールする他社に先駆け、来年夏に発売される。
シャープが“次世代液晶テレビ”を公開
シャープは8月22日、「画質」「薄さ」「環境性能」で既存製品を大幅に上回る液晶テレビの試作機を公開した。2010年に予定されている堺工場の稼働に合わせて量産を開始する方針だ。
FEDに有機EL、最新のフラットパネルをチェック
パシフィコ横浜でフラットパネルディスプレイの総合展示会「FPD International 2007」が開幕した。今年のトレンドは、液晶テレビのスリム化やLEDバックライトなど幅広いが、まずは既存の薄型テレビと少し違う方式をチェックしよう。
「3インチ/ワイドVGA」の携帯向け有機EL、2008年製品化へ
携帯のメインディスプレイとして採用例が増え始めた有機ELディスプレイ。しかし、発表された機種は解像度がワイドQVGA止まりであることに躊躇するユーザーも多いと思われる。KDDIと共同でau携帯向けパネルを開発する韓サムスンSDIは、3.1インチのワイドVGA有機ELディスプレイを 2008年に製品化するという。
セイコーエプソン、「究極の黒」を実現する有機ELディスプレイ
セイコーエプソンがコントラスト比10万対1の「究極の黒」を実現し、なおかつ5万時間の寿命を持つ有機ELディスプレイを開発した。開発製造ラインも稼働開始。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.