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「DVDにハイビジョン録画」はBD陣営の自己否定――東芝・片岡氏インタビュー(3/4 ページ)

» 2007年11月02日 08時30分 公開
[赤波子,ITmedia]

 VOB形式は、一言で説明するとDVD-VRをハイビジョン対応にしたもの。SOB形式は、デジタル放送をそのままの品質で保存するときに使用されるものである。この関係をRD-A301の録画モードに当てはめると、TSタイトルとTSEタイトルがSOB形式、VRタイトルがVOB形式に相当する。つまり、RD-A301では、HD DVDに記録する場合やHD RecでDVDメディアに記録する場合、TS/TSEタイトルは、SOB形式でそのままメディアに記録すればよく、VRタイトルは、VOB形式でメディアに記録すればよいというわけだ。これは、RD-A301にも搭載されているRDシリーズの伝統となった無劣化高速ダビングにも応用されている。

 「HD Recでは、デジタル放送をそのままの品質で保存するTSタイトルだけでなく、H.264でデジタル放送を高圧縮保存したTSEタイトルでもDVDメディアに記録できます。他社では、デジタル放送そのままの品質でDVDのディスクに記録できませんが、RD-A301ならそんなことはありません。また、ダビング時も他社では無劣化高速ダビングできないケースも存在しますが、RD-A301は記録するメディアに関係なく、基本的に無劣化高速ダビングを行えます」

 片岡氏は「RD-A301のHD Recなら地上デジタル/BSデジタルの音声を2ストリームまで無劣化で使用できる点も音声を1ストリームしかサポートしないAVCRECと比較した場合の大きなメリット」と話す。これは、RD-A301のTSEタイトルが、デジタル放送の音声部分を無劣化のまま取り出し、映像部分のみをH.264を使用してトランスコードし、その後、TSタイトルとして保存するするように設計されているからだ。

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 ちなみにTSEとは東芝独自の録画タイトルの識別名。TSEの「E」は長時間記録できる「Extend」の意味で、文字通り長時間記録できるTSという意味に命名されたものである。H.264を使用する場合の解像度は、「放送のまま(片岡氏」である。たとえば、フルハイビジョン放送の場合は、1920×1080だ。1440×1080の放送なら1440×1080となる。標準画質の放送ならばそのままSDの解像度だ。

 また、H.264を使用する場合のビットレートは最大17Mbpsで最低3.6Mbpsの範囲内で47段階の手動設定が行える。ちなみに、47段階という数字は、片岡氏によると「特に意味はない」のだそうだ。「H.264使用時の47段階というマニュアル設定は、特に増やしたかったのではなく、10Mbpsから上は、0.5Mbps刻みで調整でき、10Mbps以下は0.2Mbpsで設定できるようにしたら、たまたまこうなったというだけです。MPEG-4 AVCのおススメは、8.2Mbpsぐらいですね。DVD-Rに約1時間、DVD-R DLに約2時間入りますから」

 ただし、H.264を使用した保存は、RD-A301発売当初は、録画したTSタイトルをHDD内またはDVD/HD DVDメディアに保存する場合にのみしか使用できない。録画予約時に直接HDDにH.264で録画できるようにする機能は「時期は未定ですが、バージョンアップで対応します」とのことだ。

 「当初、HDDにはTSタイトルとしてそのまま保存されます。H.264がトランスコード時のみのというのは、間に合わなかったというのがひとつと、最初からH.264で保存してしまうと“この画質で良かったんだっけ?”という思いを持ってしまう可能性があるからです」

 「HDDへはTSタイトルの保存としておけば、ダビング10が始まったときにやり直しが何度も効きます。つまり、何度でもやり直せるTSでとりあえず撮っておけば、あとでどのようにもできるだろうということです。まずはTSで録画し、その後にH.264との画質比較も行えます。分かりやすさという点では、多少減点かなと思いますが、それもいずれバージョンアップで対応できますので安心してください」

 加えて、ダビング10への対応も「技術仕様や放送の開始が決まり次第対応する予定」という。

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