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ビクター「LH805」で観る'84年のナスターシャ・キンスキー山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」VOL.2(1/2 ページ)

» 2007年11月21日 11時09分 公開
[山本浩司,ITmedia]

 あなたにとって一番大切な映画って何ですか? と尋ねられたら、しばらく考た後、ぼくはきっとこう答えるだろう。最高に美しいナスターシャ・キンスキーに出会える「パリ、テキサス」です、と。

photo 「パリ、テキサス」デジタルニューマスター版(カラー146分、片面2層DVD)。価格は3800円。映像特典は、ヴィム・ヴェンダース監督のオーディオコメンタリー、秘蔵8mmカメラ映像、オリジナル予告ほか。販売元は東北新社

 この映画の脚本を書いたサム・シェパードは「LA(ロスアンジェルス)とテキサスの間には、アメリカのすべての風景がある」と述べたことがあるが、1984年・西ドイツ/フランス製作となるこの映画、テキサスからLAへ、そしてまたLAからヒューストンへとクルマで旅する孤独な魂の、家族再生の履歴を描いたロード・ムーヴィーである。

 監督は、ドイツ出身のヴィム・ヴェンダース。彼はこの作品でカンヌ映画祭のパルムドールを獲得している。年若い妻ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)を愛しすぎた故に、自分の心を制御できなくなり蒸発してしまった中年男トラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)が、弟夫婦に預けられていた幼い息子(ハンター・カーソン)と再会し、心を通い合わせた後、二人で妻を探す旅に出る――というお話。

 しみじみとした情感を湛えたヴェンダースの演出とそれに応えた役者たち、ブラインド・ウィリー・ジョンソンの古いブルーズをモチーフに、ボトルネック奏法を駆使してギター1本で家族再生の物語を語り尽くすライ・クーダーの音楽、'80年代前半の乾いたアメリカ西部の原風景を活写したロビー・ミュラーのキャメラ、すべてが素晴らしい。

 しかし、ぼくにとってこの映画の最大の魅力は、愛に疲れた若妻役を演じた当時23歳の、ナスターシャ・キンスキーの神々しいまでの美しさにある。彼女は後半ほんの少ししか登場しないのだが、1985年公開時に劇場で観てその魅力にヤラれ、その後レーザーディスク、DVDとパッケージソフトを買い求め、その都度彼女の美しい横顔を眺め続けてきた。

 しかし、LDも当初出たDVDも画質は芳しくなく、思い切り残念な思いを抱いていたのだが、昨年夏に出た初のスクイーズ収録となるデジタル・ニューマスター版DVDの画質はたいへんよく、このディスクを入手して以来、ぼくはまた何度か繰り返し、惚けたように場末の覗き部屋で働くジェーン(ナスターシャ)を見つめ続けてきたのだった(この映画、知人によるとBSフジで一度ハイビジョン放送されたようだが、残念ながらぼくはエアチェックし損ねた)。

photo 日本ビクターの“EXE”「LT-42LH805」

 そんなわけで、各社の最新テレビやプロジェクターをチェックする際に、ぼくは各種ハイビジョンソースとともに必ずこのDVDを持参して、ナスターシャ・キンスキーの「肌色金髪表現力」(?)を確認するのだが、ほとんどのテレビはオレ的に不合格なのである。肌色が妙に黄ばんだり、緑がかったりして、スラブ/ポーランド系美女である彼女の神々しいまでの美しさをうまく表現できないのだ。しかし、ついにこの秋、ぼくのイメージ通りに彼女の美しさを表現する凄いテレビに出会った。それはビクターの液晶テレビ“EXE”「LT-42LH805」なのだった。

 液晶テレビ特有の動きボケを解消すべく、中間フレームを生成して倍速表示をするというのが昨今の技術トレンドだが、その先鞭をつけたのが2005年の37V型WXGA機で120Hz駆動を実現したビクターである。LT-42LH805は、広視野角のIPSパネルを採用したフルHD10ビット120Hz駆動モデル。さすがに倍速駆動の完成度は高く、さまざまなシーンを精査しても動きが不自然になったり、見慣れないノイズが発生したりという破綻がたいへん少ない。今もっとも安心して観られる倍速駆動タイプの液晶テレビといえる。

 LT-42LH805は、そんな“技術点”に優れた製品だが、映画ソフトを再生してみると“芸術点”もきわめて高いテレビであることがわかる。

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