サブプライムローン破綻に始まる米国の景気後退は、どこまで家電業界にダメージを与えたのか。
ソニーエレクトロニクスのコンシューマエレクトロニクス担当エグゼクティブバイスプレジデント・栗田伸樹氏は、昨年のホリデーシーズンを振り返り「結果を見る限り、家電製品の売り上げに影響はなかった」と話した。
もちろん、ソニー社内では米国景気後退に対する心配の声があったものの、Best BuyやCircuit Cityに代表される大手流通は強気の予算を組んで発注をかけ、ソニーもそれに乗って流通に潤沢な商品を流したという。
結果「そのほとんどを売り切り、2ケタ台の増収を達成した。特に42〜52インチの液晶テレビが好調。一方で不調と言える製品分野がなかった」と栗田氏は胸を張った。
大型液晶テレビが好調というトレンドに関しては「現在、米国の家庭には1軒あたり3.4台のテレビがある。今後、これらのテレビが徐々に置き換わることや、2009年のアナログ停波に向けた買い換え需要が高まることを考えれば、今後も堅調にテレビは売れていく」と予測している。安価になった大型テレビをリビングに置き、それまでのテレビをほかの部屋で使うといった日本でもお馴染みの買い換えサイクルが、米国においても続くという予測だ。
しかし大型テレビ需要が多いと言われる米国でも、50インチを大きく超えてくると「思ったほど大型化へのシフト速度が遅い」といった意見を、プラズマテレビを主軸に据える企業からも聞こえてくる。
これに関して栗田氏は「やはり問題は価格。50インチを超えるサイズへのニーズは根強いが、価格的に3000ドルを超えるテレビは極端に売りにくくなる。3000ドル以下の製品が出てくれば、まだまだ大型へのシフトは進んでいく」と見る。
テレビに関してはもうひとつ、冒頭でも述べたサブプライムローン破綻問題に端を発した景気後退が、いよいよ今後は業績を直撃するのではないか? という懸念だ。栗田氏は出荷した年末向け商品をほぼ売り切ったと話したが、製品分野、価格クラスごとに見ると、Vizioをはじめとした仮想製造業者の台頭で価格を下げざるを得なかったカテゴリーもある。
「もちろん、景気後退懸念はある。しかし、年末にまでに関して市場からのデマンドが減る様子は無かった。”サブプライム問題が年末に影響したか?”と言えば、それは無かった。しかし、この先はどうなるかは慎重になる必要がある。年末、なぜこの問題にテレビをはじめとするエレクトロニクス製品が大きな影響を受けなかったのか、その理由はよくわからないからだ。しかし、今月下旬のスーパーボールが終わると、セールスシーズンも一息つき、市場も落ち着く。それ以降の市場状況が、景気判断のひとつの基準になるのではないかと考えている(栗田氏)」
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