東芝から登場した“VARDIA”「RD-A301」は、HD DVDドライブを搭載したハイビジョンレコーダーだ。同社の命名ルールから行くとHD DVDドライブを搭載した「A」シリーズのエントリーモデルという位置付けになるが、今度のVARDIAシリーズを占う上で重要な機能をいくつも搭載している。
1つ目の新機能は、ソニー、パナソニックに続く形でH.264(MPEG-4 AVC)コーデックでのHDDや光学メディアへの記録に対応したこと。同社ではこれを「HDトランスコーダー」と呼んでいる。つまり、MPEG2-TSで送信されるデジタル放送を「絵」として再現してから動画圧縮を行うエンコードではなく、一定の状態まで展開したデジタルデータをH.264へ変換する手法を採用しているわけだ。解像度の変更を行わないこともあり、理屈の上ではエンコードよりも高画質な変換が期待できる。
H.264でトランスコードを行った場合、音声は放送波のAACフォーマットがそのまま継承され、マルチチャンネルのままでの記録が可能だ。ただし、低ビットレート時に音声の占めるデータ量が多くなってしまうというトレードオフもある。
2つ目の新機能はHD Rec。DVDメディアにもハイビジョンでの記録を可能にする機能で、この点はパナソニック製品が同様の機能を搭載しているが、本機が異なるのはH.264記録だけではなく、MPEG-2 TSのままでの記録も可能としている点だ。1層のDVD-Rに対して地上デジタル放送なら約31分が保存可能。現状においてはほかに対応プレーヤーはなく自己録再が基本となるが、30分でも放送波クオリティのまま安価なDVD-Rメディアに保存できるのは悪くない。例えば、お気に入りのビデオクリップをまとめたり、CMクリップ集を作るなんてときにはDVD-Rでも十分だろう。
なお、DVDメディアへのハイビジョン記録時にはHDVRと呼ばれるフォーマットが採用され、TSモード(MPEG2-TS)、TSEモード(H.264)、VRモード(MPEG2)で録画した番組を全て混在させることができる。ユーザーの使い勝手重視という、HD DVDのポリシーをそのままHD Recにも持ち込んだ形だ。
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