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iPodをホームオーディオの主役にするLars&IvanのハイブリットアンププロフェッサーJOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと!」(1/4 ページ)

» 2008年01月29日 08時30分 公開
[竹村譲,ITmedia]
photo Lars&Ivanのハイブリッドアンプ「PA40Ti」

 昨今流行のモバイル・オーディオである「DAP」(Digital Audio Player)のルーツは、ソニーの“初代”ウォークマンだ。室内で音楽を聴くホームオーディオ装置を戸外に持ち出す目的で、今から約30年近く前に登場した。パソコンも電話も、まずは自宅やオフィスで使用され、その便利さや楽しさを戸外でも活用したいという願望から、よりコンパクトなモバイルPCや携帯電話が登場した。

 パソコンやネットワーク技術といった先進技術を従来のオーディオ装置にハイブリッドしたモバイル・オーディオ機器は、パソコンや従来のオーディオ装置、ネットワークなど、あらゆる外部の機器から音楽データや情報を取り込むことが可能となった。そして、例外なく大きな記憶装置を備え、膨大な音楽データを蓄積できるようになり、今や音楽データストレージの中心的存在となった。

 人でも、モノでも、大量のデータを記録・蓄積すると、より多くの関連データや情報が自然と集中的に集まり、そこに新しい「パワー」が生まれる。ホームオーディオの「出先機関」として誕生したモバイル・オーディオが十分すぎる記録容量とパワーを併せ持ち、故郷であるホームオーディオの世界に再び戻ってくるに足りる受入環境が整い始めてきたのだ。

photo 2本の真空管とトランジスタを採用したかまぼこ型のPA40Tiプリメインアンプ

 筆者は数年前、日常の便利さと引き替えに都心の狭いマンションに引っ越した。目的達成のため80キロもあるスタジオモニターや超大型アンプ、超重量級のレコードプレーヤーなど、重くかさばるモノのほとんどを整理した。しかし、オーディオの世界とは決別する気持ちはなく、床面積を極小化できるBang&Olufsen(B&O)のオーディオを導入した。そして耳は誰にでも公平に2つしかないのに、B&Oの「BeoSound2」、ソニーの「ウォークマン」、アップルの「iPod Touch」と、3台ものDAPを収集してしまった。なかでも、デザインや音質を含め、超マイノリティのBeoSound2を最も気に入っている。

 しかし、多数決の論理やシェアの大小が未来の可能性を決めてしまう現代社会では、「マイノリティの機器」を愛用することは、他人との差別化という自己満足を得られる反面、あまり有り難くない非コストパフォーマンスさも同時に覚悟する必要がある。DAP単体で活用しているあいだはさほど問題にはならないが、モバイル・オーディオが、故郷のホームオーディオに戻って、錦を飾ろうと夢見た時から多くのハードルが見えてくる。

 ありきたりで誰もが持っているiPodのユーザーはその点では幸せだ。iPodをホームオーディオのミュージック・データベース・ユニットとしてすぐに活用できるハードウェアが世界中で発売されている。「Lars&Ivan」の真空管とトランジスタのハイブリッドアンプ「PA40Ti」は、買ってすぐに楽しめるiPodとホームオーディオの橋渡しをしてくれる新進のオーディオ装置だ。

 PA40Tiはパワーアンプ部に半導体、プリアンプ(コントロールアンプ)部に真空管を採用したハイブリッド設計のiPod Dock付きのプリメインアンプだ。外観サイズは標準的なホームオーディオより小振りな356(幅)×91(高さ)×232(奥行)ミリ、重量は約4キロある。真空管は「EH12AX7」を2本使用しており、総合出力は40ワット(20ワット×2)とホームオーディオとしては十分なパフォーマンスだ。

photophoto クルクル回って現在の有効ソース位置が発光するモードセレクター(左)、モータードライブのボリュームツマミはリモコンの遠隔操作でも回転する(右)

 なぜパワーアンプが真空管じゃないのか……。プリアンプを使うのは邪道じゃないか……。そもそもiPodを音源ソースに使っていったい何を……などなど、アナログオーディオの世界ではいろいろ言われることは多いが、過去の経験や失敗から、まず聴いてみようというのが今回の始まりだった。もともとデジタル技術で限られたデータを封じ込めたCDからデジタイズしたモバイルオーディオ。しょせんモバイルオーディオ、されどモバイルオーディオなのだ。

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