一般家庭向けビデオカメラの主流は、もはやHDV/DVからAVCHDへと移行したといっていい状況だ。少し前までは、テープにMPEG-2記録するHDV製品を購入するか、それとも、さまざまな記録メディアにMPEG-4記録が可能なAVCHD製品にするかという悩みが真っ先に生じたものだが、いまでは「方式」ではなく、HDD、DVD、あるいはSDカード、メモリースティックなど、どの「メディア」に記録するかが最大の判断要素となっている。
SD解像度記録のビデオカメラでは早い時期から、日立製作所がHDDとDVDの“ハイブリッドカメラ”を投入しており、現在でも根強い人気がある。ハイブリッドタイプならHDDとDVDの利点を兼備できるうえ、ビデオカメラ単体での「撮影→編集→保存」というフローをよりシンプルな手順で実現可能という点が、ユーザーの心を捉えたのだろう。
ソニーが2月20日に発売するハイビジョンハンディカム「HDR-UX20」は、8センチDVD、メモリースティックDuoに加え、内蔵メモリへの記録にも対応した3ウェイのハイブリッドカメラだ(ソニーでは“ハイブリッドプラス”と呼んでいる)。いずれのメディアを使用した場合でもHD画質(MPEG4-AVC/H.264)での動画撮影が行え、もちろん、内蔵メモリ(またはメモリースティックDuo)からDVDへのダビングにも対応している。
内蔵メモリの容量は8Gバイトで、同時に発表されたHDD内蔵ハンディカム「HDR-SR12」(120Gバイト)、「HDR-SR11」(60Gバイト)に比較すると、若干頼りなく感じるかもしれない。ただ、最高品質の記録モードであるFH(16Mbps)でも約55分の撮影が可能なうえ、DVD保存を前提するユーザー向けの製品ということを考慮すれば、必要十分な容量といえるだろう。
録画モードはほかにHQ(9Mbps)/SP(7Mbps)/LP(5Mbps)があり、内蔵メモリを使用した場合にはそれぞれ、約1時間55分/約2時間20分/約3時間の撮影が可能。また、DVDに直接撮影する際にはFHモードは利用できず、そのかわりに14MbpsのFSモードを利用する。FHモードでは片面1層での記録時間が10分を切ってしまうためだろうか(FSモードでも約11分)、あるいは転送速度との兼ね合いだろうか。内蔵メモリへ撮影したFHモードの動画を、そのままDVDへダビングすることは可能だ。
ちなみに、この「FH」および「FS」は今回の新モデルから導入された録画モードで、1920×1080i記録に対応している(HQ以下は従来と同じく1440×1080i)。同時にH.264のプロファイルには「High Profile」を採用し、従来のMain Profileよりも効率的な符号化・圧縮が行えるようになった。キヤノンや松下電器産業のAVCHDビデオカメラでは従来から対応ずみで、ソニーが遅れをとっていた部分だが、ようやく同列に並んだことになる。
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