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コラム
» 2008年02月18日 08時00分 公開

小寺信良:携帯フィルタリング、やるべきはソコか? (2/3)

[小寺信良,ITmedia]

1社のみにすべてを任せる頼りなさ

 携帯フィルタリングは、年齢別に制限が分けられないことが問題であるとする意見もある。だが実際に年齢別に分けられるフィルタリングをPCで使わせていた経験からすると、物事はそう単純ではない。どだい有象無象あるサイトを、そんなに細かくフィルタリングで分けられっこないのである。

 だいたい何歳からどの情報はOKというのは、誰がどのような判断基準で行なうのか。文部科学省か。さらに年齢に関係なく、架空請求詐欺サイトはダメに決まっているし、そういうものは大人にとってもフィルタリングされたほうがいいだろう。

 そうなると方法としては1つ、ホワイトリスト方式にして、どれを許すかという、スロットルを緩めるような制御しかできなくなる。しかしホワイトリスト方式では、大多数の情報をカットしてしまうことになる点でダメだということは、すでに経験済みだ。

 結局のところ、Webコンテンツを未成年者にふさわしいかどうかという視点で判断するのは、誰か良識ある大人が中に入って評価するしかない。プログラムやスクリプトでは、「何か端々から、いかにもヤバそうな感じが漂ってくる……」といった大人のカンは、再現できないだろう。

 現在携帯事業者4キャリアが採用するURLリストは、「ネットスター」が提供するものである。出所が1つということは各社のフィルタリングのレベルも揃うということではあるのだが、それは何か、もともと親が求めていた取り組み方とは違うように思う。

 お金を払う側の立場から言わせて貰えれば、昨年末に規制の原則化の話が持ち上がったときは、自分たちのインフラの安全性を保証する意味でキャリア自身がきちんと投資して、専門の事業部なり子会社なりを設立し、自分たちの手でコンテンツの調査・監視を行ない、対策を行なうというような取り組みなのだろうと思っていた。それも1つの、キャリア間の差別化として成立するはずである。しかし結果は、ある意味よその会社に丸投げである。費用負担はキャリアが行なうだけマシと言えばマシだが、求めていたのはそういうものじゃあなかったのだ。

 例えば「カカクコム」は、1日平均約38万ユニークユーザーが訪れる巨大掲示板を抱える割には、大きな問題のない運営を続けているが、これは1日に投稿される約4500件の書き込み全部を、スタッフが必ず24時間以内にチェックしているところが大きい。スタッフ自身が書き込むことはないが、人の手が入っているかどうかは、何気なく書いた要望がいつの間にかシステムに反映されていたりといったことで、体感できる。要は人の目と手がちゃんと行き届いているか、というところが重要なのである。

 今後「モバゲータウン」では、今年度だけで3〜4億円の投資をして監視体制を強化し、監視員を300人に増強するなどの対策を打ち出している。しかしこれだけの投資ができるのは、利益がきちんと上がっているからこそできるわけで、ケータイサイトの中には、すでに管理者不在の放置状態であるところも存在するだろう。

 結果的にコンテンツ供給側の自浄作用を求める結果となっているのは、まあ望ましいことかもしれない。だがそれは、コンプライアンスを重視する意志があるサイトだからであって、最初から自浄などするつもりもないサイトは、そのままである。

 さらに問題なのは、「悪いことをするヤツのほうがマメに働く」ということである。「ネットスター」の人たちも一生懸命やってくれるのだろうが、悪いヤツの方が人数が多くてマメなら、1社だけの取り組みではどう考えても不利である。

 現在のところフィルタリング規制は、URLベースのブラックリスト形式に落ち着きそうだが、処理が追いつかなければ、真面目にコンテンツ浄化に取り組んで固定URLで頑張る事業者がいつまでも弾かれ、さっさとURLを変えて逃げ回るような事業者にはすぐ繋がるような、本末転倒の状態に陥るだろう。

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