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日立「P50-XR02」で体感したい「アイ・アム・レジェンド」の闇の恐怖山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.13(2/2 ページ)

» 2008年04月30日 13時51分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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「なめらかシネマ」と「シネマスキャン」

 映画ソースの対応については、XR02の仕様が興味深い。「なめらかシネマ」と「シネマスキャン」という2方式のどちらかを選択できるのである。

 前者は、日立が昨年のモデルから導入を始めた動き適応型映像補間技術の一種。御存知のように、24コマ/秒のフィルム映像は、2コマ、3コマの繰り返しによって60フレーム/秒のテレビ信号に変換される(2-3プルダウン)。この60フレームより抜き出した24コマのフィルム映像から、日立独自の動き補間アルゴリズムによって新たに60フレーム/秒の予測映像をつくり出して、コマ繰り返しでは表現できなかった、なめらかな映像を再現するというものだ。昨年のモデルに比べて、動き補間アルゴリズムの見直しを図り、より自然な動きが実現できたという。

 しかし、そうは言っても映画制作者は、24コマのカタカタした動きまで計算に入れて映画をつくっているのだから、それをなめらかにつなぐのはおかしいという考えも当然ある。そこで、XR02では1080/24p入力信号については、24フレーム/秒を4等倍する96Hz駆動を実現するフィルムスキャン・モードも用意、なめらかシネマと切り替えられるようにした。こだわりの映画ファンには、均等なコマ間隔を再現することで、映画館同様のフィルム映像ならではのテイストを味わってほしいという提案である。

 録画機能も充実している。XR02、HR02ともに250GバイトのHDD を内蔵、着脱できるカセット式HDD「iVDR-S」用の「iVポケット」も装備し、ストリーム記録のTSモード比2 倍の録画時間を可能にする「XCodeHD」を採用することで、フレキシブルに長時間録画に対応できるようにした。

 50V 型のP50-XR02とP50-HR02を2台並べ、照明を20ルクス程度まで落とし、「シネマティック」モードでじっくりその映像をチェックする機会があったが、両機ともに艶のある黒をベースにしっかりとしたハイコントラスト映像をアピール、おおいに感心した。黒の黒らしさや暗い場面のホワイトバランスの安定感は、コントラスト・スペックで劣るHRもたいへん素晴らしく、XRにけっして見劣りしない。しかし、暗部階調のきめ細かさ、映像のしっとりした味わいで、やはりXRが上回る印象だ。

 このXR02のハイコントラスト映像で、ぜひ観てみたいと思ったのが、BD-ROMの新作「アイ・アム・レジェンド」である。

photo Blu-ray Disc「アイ・アム・レジェンド」は4980円。音声は英語がドルビーTrueHD 5.1ch/ドルビーデジタル5.1ch、日本語がドルビーデジタルプラス5.1ch/ドルビーデジタル2ch。(C) 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

 「アイ・アム・レジェンド」は、リチャード・マシスンの初長編「地球最後の男」を原作とする3度めの映画化作品。主演は「アイ,ロボット」「幸せのちから」のウィル・スミス。監督は「コンスタンティン」でメガフォンを取ったフランシス・ローレンスである。

 ウイルスの蔓延で狂暴化し、夜行性の怪物となった人間たち(ダーク・シーカーズ)を元に戻す研究を続ける科学者ロバート・ネヴィル(ウィル・スミス)が、昼間、無人化したニューヨークで、愛犬とともにたった1人でサバイバルする姿を描くのだが、実際に五番街を200日間封鎖して撮ったという廃墟のニューヨークの光景は圧巻というほかなく、よくもまあこんな映像が撮れたものだと、改めてハリウッドの底力に感心してしまう。

 たった1人で生き抜いていかなければならないロバートの孤独はよく分かるが、あの世界一魅力的な街、ニューヨークを独り占めできるというのは、なんだかうらやましい気もする。それから、ロバートと愛犬サムのお互いを思いやる姿、その愛情溢れる心の交流がとてもよく、犬好きにはちょっと見逃せない映画だろう。

 そのサムが昼間、太陽の光が届かない暗黒のビルに入り込み、後を追ったロバートが、ダーク・シーカーズと遭遇する場面のぞくぞくするようなサスペンス演出が素晴らしい。この場面で、黒が浮いたり暗部が青みがかったり緑がかっては、闇の深さを感じ取ることはできないし、暗部階調の表現が不足していては、暗闇でじっと身を潜めるダーク・シーカーズの相貌が明らかにならず、ロバートの恐怖をほんとうに共有することはできないだろう。

 あいにく、XR02の画質チェック時にこのソフトを持ち合わせていなかったのだが、ぜひ今度XR02と相まみえるときは「アイ・アム・レジェンド」の闇の表現力をじっくりチェックしてみたいものだと思う。P50-XR02の暗所コントラスト3万:1の漆黒の表現と、安定したホワイトバランスがロバートの恐怖をきっと明らかにしてくれることだろう。

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