バッファローの「LT-H90」シリーズは、同社のネットワーク・メディアプレーヤー“Link Theater”の最新モデルだ。有線LANのみに対応する「LT-H90LAN」と、IEEE802.11n準拠の無線LANも搭載した「LT-H90WN」の2機種がラインアップされており、今回使用するのはLT-H90LAN。2製品は無線LANの有無を除いて同一の仕様だ。
LT-H90シリーズの特徴は、AV機器のトレンドに合わせる形でデジタル放送の録画番組のネットワーク配信に必要な暗号化技術「DTCP-IP」に対応し、ハイビジョンレコーダーやハイビジョンカムコーダーで採用され始めたH.264のハイビジョン再生もサポートしたこと。ネットワーク配信は、デファクトスタンダードのDLNAガイドラインに準拠しており、DMA(デジタル・メディア・アダプター)として(DLNAサーバ機能を持つ)ハイビジョンレコーダーで録画したデジタル放送番組をネットワーク経由で再生できる。PCの周辺機器というよりは、もうAV機器と考えたほうがいいだろう。
もちろん従来製品と同様、PCで利用されるさまざまな映像/音声圧縮コーデックにも対応している。映像ではDivX、WMV、MPEG4などをサポートしており、このあたりがテレビに搭載されたDLNAクライアント機能と異なる。一方、従来の単体メディアプレーヤーは、PCとの親和性は高くてもデジタル放送の録画番組を再生できなかったわけで、それぞれ一長一短の状態が続いていた。それを打ち破ったのがLT-H90シリーズだ。
近い製品としてはソニー「VGP-M200」があるが、DivXやWMVはPC側でトランスコード処理を行った上で伝送する方式。また、アップデートでDTCP-IPに対応するとしていたアイ・オー・データ機器の「LS-300」シリーズは、いまだにファームウェアが提供されていない。つまりLT-H90シリーズは、現時点で求められる機能を最も多く取り込んだ製品といえる。
LT-H90シリーズは、従来の「PC-Px」シリーズ同様にDVDドライブを搭載しないコンパクトな筐体を採用している。PC-Pxシリーズに比べて奥行きは長くなったものの、代わりにACアダプタが不要になった。前面にはUSBポートを備え、メモリカードやUSB HDDを接続して保存したコンテンツを再生できる。またUSB HDDでは複数パーティション、NTFSにも対応している。ほとんどの操作はリモコンで行うため、本体前面の操作ボタンは電源スイッチのみだ。
出力は、映像がHDMI、D端子(D4対応)、コンポジットビデオ、音声がアナログステレオと光出力。もちろんHDMIで音声も出力できる。S端子は省略された形になるが、HDMIが普及した今となっては大きな問題とはいえない。
USBポートは背面にも用意されている。2つのUSBポートの片方にメモリカードやUSBマスストレージ対応のデジカメなどを接続し、もう一方にUSBの外付けHDDを接続すると、撮影画像をHDDにバックアップすることができる。HDDはFAT/FAT32フォーマットにする必要があるが、PCなしでデジカメのバックアップに利用できるのは便利だ。
リモコンは旧モデルに相当する「PC-P4」とデザイン、ボタン数ともに同じ。テレビやレコーダーのそれと同程度のサイズでボタンなども押しやすく、レイアウトも悪くない。
無線LAN対応のLT-H90WNでは、デュアルバンドのIEEE802.11a/b/g/nをサポートし、暗号化もWEPに加えてWPAやWPA2が利用できる。また同社の無線LANアクセスポイントとの組み合わせでは、面倒な作業なしで各種設定が行える「AOSS」もサポート。有線LANのみのLT-H90LANとの価格差は1万円程度だが、現状ではほぼフルスペックの無線LAN機能を備えることを考えるとコストパフォーマンスは悪くない。
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