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「USB 3.0」――2.0の10倍速い新USBデジモノ家電を読み解くキーワード

» 2008年08月21日 12時19分 公開
[海上忍,ITmedia]

USB 3.0の特徴

 現在、Intelなど業界大手6社を中心に規格策定中の「USB 3.0」。名前が示すとおり、1996年に登場した「USB 1.0」(およびその改変版1.1)の、そして2000年に発表された高速版「USB 2.0」の、後継に位置付けられるバス・インタフェースだ。

 その最大の特徴は、4.8Gbps以上となる転送速度。USB 2.0(最大480Mbps)の10倍であり、大容量のデータを短時間でやり取りできる。しかもUSB 1.0/1.1および2.0との後方互換性を備え、これまでのUSB規格に準拠した機器を継続使用できるが、一方で電流供給能力は100〜900mA(従来はローパワーが100mA、ハイパワーが500mA)と大幅にアップしている。

ピンが5本増えたわけ

photo IDF 2007の会場に展示されていた、USB 3.0対応コネクタのサンプル

 転送速度と電力供給能力アップのために、コネクタの形状も見直されている。後方互換性を維持すべく、各部の寸法はUSB 1.1/2.0と変わりないが、ピンが5本プラスの計9本に増えている。規格策定を進めるUSB Promoter Groupによれば、ピンの新規追加による転送レート向上と転送プロトコルの改良により、単位時間あたりの転送データ量を増やすことが目的だという。

 5本の内訳は送信線と受信線が各2本、残り1本が接地線。従来からある4本のピンの奥に配置され、独立して機能するため、USB 1.1/2.0のコネクタを差し込めばUSB 1.1/2.0機器として使用できる。USB 3.0用コネクタも同様に、USB 1.1/2.0機器に差し込めばUSB 1.1/2.0の規格の範囲内で使用可能だ。

IDF 2008で発表は?

 ちなみにこのUSB 3.0、8月19日から3日間にわたり開催される「Intel Developer Forum (IDF) 2008」で、進捗状況が発表される見込みだ。昨年のIDFの時点では、まだ光ファイバーの採用が検討されていたが、その後コスト上の理由により白紙に戻っている。「SuperSpeed USB」という別名があるように、USB 2.0から大幅に高速化されることは確実だろうが、その他の詳細については、2009年以降が予定されている正式リリースまでの間に見直される可能性もある。今後の動きに注目したい。

執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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