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HDMI+DisplayPort付き30型ワイド液晶「3008WFP」を攻略するWQXGAなのに8系統入力(1/3 ページ)

» 2008年08月25日 16時00分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

フルHDやWUXGAを超える世界へ

「3008WFP」

 現在、PC用のハイスペックな液晶ディスプレイといえば、フルHDのドットバイドット表示が可能なWUXGA(1920×1200ドット)対応の24型ワイドモデルが人気だが、さらなる大画面・高解像度のニーズも当然存在する。まだまだ製品数が少なく割高ではあるものの、30型クラスのワイド画面で解像度がWQXGA(2560×1600ドット)のモデルに注目しているユーザーは少なくないだろう。ここで取り上げるデルの「3008WFP」も、そんなWQXGA対応の30型ワイド液晶ディスプレイの1つだ。

 3008WFPは2007年12月に登場したデルのハイエンド液晶ディスプレイ。下位に位置するWUXGA対応の24型ワイド液晶ディスプレイ「2408WFP」と同じく、高性能かつ高機能な液晶ディスプレイブランド「デジタルハイエンドシリーズ」に属する。以前紹介した2408WFPと共通する部分も多いので、2408WFPのレビュー記事も併せてご覧いただきたい。

全8系統のPC/AV入力を搭載するも注意点あり

映像入力端子は液晶パネルの背面に下向きで配置される

 3008WFPで目を引くのは、30型ワイドで2560×1600ドット(WQXGA)という大画面・高解像度と、全8系統ものPC/AV入力だ。入力系統を列挙すると、PC入力がDVI-D×2(HDCP対応)、アナログD-Sub×1、DisplayPort(4レーン)×1で、AV入力はHDMI 1.3、コンポーネントビデオ、S-Video、コンポジットビデオが各1系統ずつとなる。HDMIはPC入力で利用してもよい。

 ちなみにDisplayPortは、DVIの後継とされるPC向けの次世代インタフェースで、VESAによって標準化された規格だ。とりわけデルはDisplayPortの普及に熱心で、他社に先駆けてDisplayPort搭載の液晶ディスプレイを積極的にリリースしている。最近はDisplayPortを備えたグラフィックスカードも徐々に増えているなど、普及に向けた下地が少しずつ整いつつある。

 さて、PC入力で注意したいのは、2560×1600ドットの解像度を表示するためには、デュアルリンクDVI-DかDisplayPortに対応したグラフィックスカードが必要なことだ。PC本体との接続にはデュアルリンクDVI-D対応ケーブルかDisplayPortケーブルも必要だが、これらは3008WFPに標準で付属する。

 シングルリンクDVI-D接続でも画面自体は映るが、最大解像度は1920×1200ドットに制限される。アナログD-Sub接続と、HDMIをPC接続で利用した場合も、最大解像度は1920×1200ドットだ。パネル解像度と異なる解像度を表示した場合のスケーリング機能については後述しよう。

DisplayPortの端子はHDMIとよく似ているが、左右非対称の形状を採用しており、ピン数がHDMIのタイプA端子より1ピン多い20ピンとなっている(写真=左、中央)。左がシングルリンクDVD-D端子、右がデュアルリンクDVI-D端子(写真=右)。デュアルリンクDVI-Dのほうがピン数が多い

左側面に各種カードスロットと2つのUSB 2.0ポートがある

 本体に向かって左側面には、2基のメモリカードスロットと、内蔵USB 2.0ハブのダウンストリームポートが2つある。背面にもUSB 2.0ハブのダウンストリームポートが2つあるので、合計4ポートを使用可能だ。

 メモリカードスロットは、上部がCF TypeIIやマイクロドライブ、下部がSDメモリーカード/MMC/メモリースティックPRO/xDピクチャーカードとなる。PCからは2つのリムーバブルドライブとして認識されるため、上部/下部のスロット間でファイルのコピーや移動が可能だ。

 本体にスピーカーは内蔵しないが、HDMIで入力された音声のみスルー出力に対応している。フロント/リア/サブウーファという3つの音声出力(いずれもステレオミニ)があり、ステレオ2チャンネル出力のほか、5.1チャンネル出力にも対応する。ステレオ2チャンネル出力と5.1チャンネル出力は、OSDメニューで切り替える仕組みだ。

大画面、超高解像度、広色域の液晶パネルを搭載

 3008WFPの本体サイズは、画面が30型ワイドということで、696.67(幅)×237.43(奥行き)×482.11(高さ)ミリと大型だ。液晶パネルのドットピッチも0.2505ミリと高密度なので(24型ワイドの2408WFPは0.27ミリ)、画面上の文字やフォントが結構小さく表示される。それなりの設置スペースが必要なのはもちろん、画面を見やすい視聴距離で設置するように配慮したい。

 また、長時間使っていると本体の上部がかなり熱くなる。もちろん、試用中に熱暴走するようなことはなかったが、熱がこもると製品寿命を縮める原因にもなるので、本体の上方に多少の空間を確保して設置したほうが安心だろう。

 スタンドは上19度/下3度のチルト、左右60度のスイベル、90ミリ範囲の高さ調節に対応する。いずれも軽すぎず重すぎず、画面の位置調整はスムーズだ。スタンドにはケーブル類を束ねる空洞が設けられており、多数のケーブルを接続しても見た目をすっきりさせられる。画面を90度回転して縦位置表示で使う機能は持たないが、スタンドを取り外してVESAマウントのアームを装着することは可能だ。

質感の違う金属パーツを組み合わせたボディは背面のデザインにも手抜きがない(写真=左)。デュアルヒンジ機構によって、画面の高さと角度を柔軟に調整できる(写真=中央)。各種ケーブルはスタンド下部の空洞にまとめておくことが可能だ(写真=右)

 3008WFPの基本スペックは、輝度が370カンデラ/平方メートル、コントラスト比は1000:1、視野角は水平/垂直とも178度、応答速度は白黒間が12msで中間調が8msとなっている。画面は外光反射を減らすノングレア処理だ。液晶パネルの駆動方式は非公開だが、試用した機材の表示傾向やスペックから察するにLG DisplayのIPS系パネルだろう。広い色域を持った液晶パネル(NTSC比はCIE1931で100.6%、CIE1976で117%)を採用しているのも、ハイエンドモデルらしい大きな特徴の1つだ。細かい画質については後半で述べる。

 コントラスト比に関してはダイナミックコントラスト機能を搭載しており、OSDメニューでこの機能を有効にすると、コントラスト比を最大で3000:1相当にアップできる。これは表示内容に応じてバックライト輝度を動的にコントロールし、時間軸で見た場合のトータルなコントラスト比を高める仕組みだ。

 例えば、表示内容が暗い場面では輝度を落とし(黒レベルが下がる)、明るい場面では輝度を上げるため(白レベルが上がる)、特に動画やゲームの表示において、高い効果が見込める。動画やゲーム以外のPC用途では、ダイナミックコントラスト機能が有効だと画面のメリハリが強すぎて目に負担がかかるため、無効で使うほうがよいだろう。

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