子猫を撮るときの基本は赤ちゃんを撮るときとあまり変わらない。つまり「直接フラッシュの光を目に当てない」こと。基本的に、猫でも犬でも、動物を撮るときはフラッシュを顔に向けて発光しないようにするのである。動物はそういうのを嫌うし、目も不自然な色になってしまう。
そういうときはどうするか。基本的に方法は2つだ。
ひとつはストレートにフラッシュを使わない。でも子猫といえばじっとしてないし、その活発に動き回る仕草を撮りたいもの。そこで、ISO感度を上げ、できるだけシャッタースピードを確保して撮る。
もうひとつは、外付けフラッシュを使う。フラッシュを上に向けて発光し、天井や壁に反射した光で撮影するのだ。この撮影方法は「バウンス撮影」というのだが、これで撮ると光が全体に回ってすごくいい感じになる。
今回はデジタル一眼レフカメラを駆使し、いろんなパターンで撮ってみた。
使ったカメラはニコンの「D40X」と「D300」。外付けフラッシュは同じくニコンの「SB-900」。レンズは18〜200ミリのズームレンズと50mm F1.4の明るい単焦点レンズだ。
一番撮りやすいのは、昼間の室内で窓の近くである。それでも屋外に比べるとずいぶんと暗い。
この写真はISO感度を400まで上げて撮ったが、それでもシャッタースピードは1/40秒。被写体が動いてないときなら十分だが、ちょこまかと動かれるとこのように激しく被写体ブレしてしまう。
よって、昼間ですらあまり動いてないときを狙うか、ぐっとISO感度を上げるしかない。
結局、ISO800まで感度を上げることに。今はコンパクトデジカメでもISO800や1600という超高感度での撮影が可能になったけれども、コンパクトデジカメでは高感度時の画質にどうしても難がある。デジタル一眼レフはそれに比べると高感度時の画質低下が少ないのがありがたい。
ポイントはできるだけシャッタースピードを速くして撮りたい、ということ。同じ明るさの場所ならば、最適なシャッタースピードは絞り値とISO感度の関係で決まってくる。ISO感度を上げるとその分シャッタースピードは速くなる。絞り値が小さいとその分シャッタースピードが速くなる。
デジタル一眼レフ用のポピュラーなズームレンズの明るさ(開放絞り値)は広角側でF3.5、望遠側でF5.6程度。使ってみると分かるが、これは結構暗い。ちなみに、F値は√2ずつ増えていくので、明るい方から順に並べると、 1.0→1.4→2.0→2.8→4.0→5.6→8.0 と増えていく。一段明るくなると、シャッタースピードが半分に速くなる。一般にズームレンズの場合は望遠側の方がF値が大きくなる(暗くなる)ので、その分シャッタースピードが遅くなってブレやすくなる。
例えば、50ミリ相当でF5.6というズームレンズがあったとしよう。それでISO800で1/15秒だった。
これが50ミリでF1.4という明るいレンズ(ズームがない単焦点レンズだと、50ミリでF1.4というのはポピュラーだ)だと、4段分明るいのでシャッタースピードはなんと1/250秒になる。これならブレの心配はほとんどない。
テレビの画面をじーっと見てる姿を,違うレンズで撮ったものだが、レンズが違うだけでこれだけシャッタースピードが変わる。室内で猫をきれいに撮りたいなら、できるだけ明るいレンズを使ってみよう、である。
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