ITmedia NEWS >

当たり前になった「フルHD」、選択の基準は?特集 秋のフルHDビデオカメラ(1)(2/2 ページ)

» 2008年09月12日 00時00分 公開
[小山安博,ITmedia]
前のページへ 1|2       

チェックすべき機能とポイント

 今秋モデルでは、いつかの機種でこれまでデジタルカメラの機能として実装されたものを、ビデオカメラにも投入した例が見受けられる。その代表的な例が顔検出機能だ。

 文字通り人の顔を見つけてそこにピントや露出をカメラが合わせてくれる顔検出機能は以前から搭載機種があり、今秋モデルならではの新機能ではないがその機種は増加した。今回取りあげたモデルでも、日本ビクター「GZ-HD40」とキヤノン「HF11」以外の4製品が本機能をサポートしている。

photo 顔検出機能を搭載した製品ならば、カメラ任せで人物の顔をきれいに撮影してくれる。人を撮ることの多いビデオカメラにおいては活躍する機能だろう

 ビデオカメラは「人」を撮ることに使われることが多い。それだけにこうした顔検出機能のありがたみを感じられるシーンは多い。しかし、動く被写体を撮影することになるビデオカメラの場合、その精度と検出スピードは重要になる。ここは購入時に店頭などでチェックしておきたいポイントだ。

 さらにはソニーがデジカメ“サイバーショット”で搭載例のある「スマイルシャッター」を「HDR-CX12」に投入してきた。スマイルシャッターは人の笑顔を判別して、自動的にシャッターを切るという機能だが、HDR-CX12では、動画撮影中に笑顔を検出すると、その瞬間を静止画として保存する、という動作をする。

 最近のビデオカメラは動画撮影中にも静止画撮影を行える機種が多いが、きちんと静止画を撮ろうとすると意外に難しい。やはり静止画の撮影は本職のデジカメにはかなわないという感じだが、このスマイルシャッターがあれば動画を撮影しながら、笑顔の瞬間を静止画として自動的に撮影できる。

 顔認識と同様、デジカメが初出の機能を応用して搭載したのがパナソニック。「HDC-HS100」に搭載されたのは、カメラが自動的にシーンを判別し、そのシーンに最適な撮影設定を自動で適用する「おまかせiA」だ(デジカメ“LUMIX”にも同名機能が搭載されている)。

 例えば画面内に人の顔があれば、顔検出をオンにして人物撮影に適した設定にしたり、風景であれば白トビしやすい空と黒ツブレやすい暗部を補正して撮影したり、ろうそく明かりだけの暗いシーンでも明るく撮れたりと、カメラが自動で設定してくれる。

 こうした機能はまだ限られたメーカーしか採用していないが、デジカメがそうだったように、今後、他社でもこうした取り組みが検討される可能性はある。デジタル化されてからカメラとビデオの垣根が低くなっているが、それがさらに低くなったと言ってもいいかもしれない。

 「画質」を追求する動きも活発だ。今回取りあげた製品中ではXactiのみが記録形式にMPEG-4/H.264(.MP4)、その他の製品はAVCHD(これも映像コーデック自体はMPEG-4/H.264だが)を採用するが、AVCHDを採用する製品のなかではより高画質なHigh Profileを採用する機種が増えているのも注目したい。

 ソニー「HDR-CX12」、パナソニック「HDC-HS100」がHigh Profileでの記録を行うが、キヤノン「HF11」はAVCHD規格の上限である24Mbpsというビットレートでの撮影が可能になっており、画質面での優位性をうたっている。ただし、HF11のAVCHD/24Mbpsで記録された映像は別売の同社製DVDライター「DW-100」でもDVDに書き出せない(付属ソフトを利用して、BDやPCのHDDへ書き出すことは可能)など運用面での課題も残る。

 これらの付加機能を備えた製品が多く登場しているのは、フルHD撮影が一般化したことで単なる解像度競争ではなく、いかに「映像をキレイに映すか」という点に焦点が写り始めているからといえるだろう。

 次回からは紹介した6モデルの詳細をみてみよう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.