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インタビュー
» 2008年09月12日 12時52分 公開

アップルインタビュー(前編):“天才”は進化する、アップル担当者に聞く「iTunes 8」 (2/2)

[林信行,ITmedia]
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photo レコメンデーション機能

エリス:今はまだそういうこともあるかもしれません。ただし、ジーニアスプレイリストは、ユーザーのiTunesのライブラリにどんな曲が入っているか、どんなプレイリストが作られているか、といった情報を参照して、曲のレコメンデーションを行っています。つまり、これからしばらくしてからもう1度、同じ曲を選んで「ジーニアス」ボタンをクリックすれば結果は変わってくるかもしれません。

――ジーニアス機能が、ユーザーに使われれば使われるほど賢くなる、ということは分かりましたが、気になっているのが“今のiTunes 8”です。実は私は「iTunes 8」がリリースされてすぐにダウンロードしてインストールしてみました。おそらくまだユーザーからのデータは、まだほとんどあがっていなかったと思うのですが、既にその時点で、かなりいい感じで曲のレコメンデーションをしてくれました。一体、このレコメンデーションは何を基準にして作られたものなんでしょう?

エリス:いい質問です。実はiTunes 8は、現段階でも、それなりに優れたレコメンデーションをしてくれます。われわれが運営する「iTunes Store」では、常に膨大な数の数の楽曲を販売しています。その販売データから、曲同士の相関関係を導き出すことができるのです。ただし、今後、iTunes 8でジーニアス機能をONにする人が増えれば増えるほど、このレコメンデーションはより的を射たものになっていきます。

photo iTunesユーザーからネット経由で収集した曲名や再生回数、レーティングなどのデータを元に“指定した曲に似合う曲”をリスト化するため、ユーザーが増えるほど内容は充実する

――レコメンデーションにはiTunes Store上で作る「iMix」の情報も影響を与えるのでしょうか?

エリス:いいえ、それはありません。われわれが個別のユーザーから得る情報は、曲の名前と同じプレイリストに入っている曲の組み合わせ情報、曲のレーティング、そして再生回数データなどです。

 このジーニアスについて、もう1つ重要なことは、このレコメンデーションが純粋に1曲1曲の関係によって導き出されていることです。曲のアーティストが誰であるかとか、曲がどんなアルバムに入っているか、曲がどんなジャンルにあてはまるか、といったメタ情報は一切無視して、純粋に1曲1曲の関係性だけを元にレコメンデーションを行っています。

 どういうことかというと、普段はハードなテクノロックを演奏するナイン・インチ・ネイルズですが、時々、曲と曲の間に、静かな曲を再生することもあります。その静かな曲を選んでジーニアスプレイリストを作ると、ジーニアスはクラシックやロックといったジャンルを超えて、それにマッチする曲をレコメンドしてくれます。

――ところで、個人のデータをサーバに送るとなると「果たしてプライバシーの問題は大丈夫か」と心配する人達がでてくると思うのですが

エリス:それは日本だけではなく、世界中どこでも当然のことでしょう。われわれはその点について細心の注意を払ったつもりです。

photo 機能をONにしようとすると、まずは同意書が表示される

 何よりもまず、これはユーザーの同意を得た後でしか利用できない機能になっています。機能をONにしようとすると、まずは同意書が表示されます。その同意書には、一体どんな情報がアップロードされるのかを明確に記しています。また、個人を特定できるような情報は一切アップロードされないことも明記されています。ジーニアスは、サーバに曲名、プレイリスト内の曲のとりあわせ、そしてレーティングや再生回数といった情報をアップロードしますが、これらの情報が、個人を特定できるような情報とひも付けされることは一切ありません。

 このことは同意書に明確に記されており、同意しない限り、機能が使われることはありません。

――ただし、ここでユーザーが同意しなければレコメンデーションを受けることもできないわけですよね

エリス:そうですね。ただし、この機能はいつでも好きなときに有効にしたり、OFFにしたりできます。つまり、一度、この機能に同意してプレイリストを作っておいて、その後で機能を無効化しても、有効時に作成したプレイリストはそのまま利用することができますし、無効化する以前に追加済みの音楽を使ってプレイリストを作ることができます。

――このジーニアスのレコメンデーションデータは、グローバルなんでしょうか、それとも地域ごとに分かれているのでしょうか?

エリス:グローバルです。この機能では一切のメタデータは無視しているのです。この機能はソフト、ハード、サービスの3つのすべてを統合したサービスという意味でもアップルらしさを象徴した機能といえるでしょう。

 ジーニアスプレイリスト機能は、iTunes 8でも動けば、iPod shuffle、iPod nano、iPod touchといった新ハードでも利用でき、これはサーバ上の優れたプログラムによってもたらされているものなのです。

――確かに言われてみればそうですね

次回は加速度センサー対応ゲームも出てくるという「iPod nano」など、iPod製品について話を聞いていこう。

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