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» 2008年10月10日 11時30分 公開

第2回 ドライバとソフトで印刷の“色”を極める秋のA3ノビプリンタ特集(3/4 ページ)

[榊信康,ITmedia]

Photoshop用の印刷プラグインソフトを使いこなす

 A3ノビ対応プリンタの付属ソフトはA4複合機/単機能プリンタと同じものも多いが、Photoshop用の印刷プラグインソフトを付加しているのが特徴だ。ここからは、各製品に付属するPhotoshop用の印刷プラグインソフトを取り上げる。特にデジタル一眼レフカメラを愛用しているユーザーは、撮影後にPCでRAW現像し、Photoshopでフォトレタッチした後、プリンタドライバの設定を行って出力といった流れで作業をしていることが多いだろう。このワークフローを効率化する工夫として、各社が力を入れているのがPhotoshop用の印刷プラグインソフトというわけだ。

 こうしたソフトとして、エプソンは「Epson PrintPlug-in for Photoshop」、キヤノンは「Easy-PhotoPrint Pro」、日本HPは「HP Photosmart Pro Printプラグイン」を用意している。これらのプラグインソフトはいずれもPhotoshopから直接呼び出すことができ、手間がかかるカラーマネジメント設定を手軽に行えるのがポイントだ。ただ、プラグインソフトによって対応するPhotoshopのバージョンが違う点は注意してほしい。

 なお、Epson PrintPlug-in for Photoshopのみ製品には付属しておらず、エプソンのWebサイトからのダウンロード配布という形をとっている。

各社のPhotoshop用の印刷プラグインソフト
ソフト名 メーカー 対応機種 対応ソフト
Epson PrintPlug-in for Photoshop エプソン PX-5600/PX-G5300など Photoshop CS2/CS3、Photoshop Elements 4/5/6(Elements 5はWindowsのみ)
Easy-PhotoPrint Pro キヤノン PIXUS Pro9500/9000など Photoshop CS/CS2/CS3、Digital Photo Professional Ver.2.1以降
HP Photosmart Pro Printプラグイン 日本HP HP Photosmart Pro B9180 Printer Photoshop 7以降(CS3は非対応)

※記事初出時、Epson PrintPlug-in for Photoshopの対応ソフトに一部誤りがありました。おわびして訂正させていただきます。

Epson PrintPlug-in for Photoshop(エプソン)

画面構成は3つに分かれており、左側で画像の確認と選択、中央でレイアウト調整、右側で印刷設定を行う。多彩な機能を1画面に凝縮したため、インタフェースは少々込み入った印象だ。背景色を黒にして印刷する機能も持つ

 エプソンのPhotoshop用プラグインソフトは、「Epson PrintPlug-in for Photoshop」という実にストレートな名称が付けられている。そのベースとなるのは、エプソンが開発を行ったデジタルフォト統合ユーティリティソフト「Imaging WorkShop」だ。ここからフォトレタッチ機能などを割愛するとともに、インタフェースをアレンジした設計になっている。

 Imaging WorkShopは山のような機能を盛り込んだソフトで、NewSoftが2万9800円でダウンロード販売している。それをベースにしているだけに、機能の豊富さは他の追随を許さない。むしろ、プリントプラグインとしては機能が多すぎるくらいで、それが逆にアダになっている印象も受ける。多機能を1つのウィンドウで賄おうとしているため、操作性や直感性が犠牲になっているのだ。特にレイアウト機能はテンプレートが豊富で、凝ったレイアウトが簡単にできるものの、逆にシンプルなプリントでは意外に手数がかかるのに閉口した。もう少し機能を絞り込んでもよかったのではないだろうか。

 カラーマネジメント機能も充実しており、「ICCプロファイルによるマネジメント」と「ダイレクトマネジメント」の2種類から選択できる。前者は文字通りICCプロファイルを指定して印刷を行う方法だ。用紙に対応したICCプロファイルをユーザープリセットとして登録できるので、サードパーティ製の用紙を使う人は重宝するだろう。

 一方のダイレクトマネジメントとは、指定したインクとメディアの組み合わせから導き出される色域をフルに使えるように色変換する機能だ。本来の正確な色再現という目的からは外れるが、試みとしては面白い。狭い色域のデータを広色域で出力したいケースでは有用だ。ただ、この場合は無理な変換を行うため、鮮やかな色は出せても、階調が崩れることがままあった。

 プラグインに読み込んだ複数の画像と印刷設定は一度ソフトを閉じても、その状態を保存しておけるので、作業の途中で中断しても安心だ。

カラーモードの設定は「ICCプロファイルによるマネジメント」と「ダイレクトマネジメント」の2種類から選べる(写真=左)。アドビシステムズのサイトから「Adobe Color Management Module」をダウンロードしてインストールすれば、カラーマネジメントの設定でエプソン純正のCMMやOS標準のCMM以外に、Adobe CMMを適用することが可能だ(写真=中央)。さまざまなレイアウトが可能なことに加えて、ユーザーが作成したレイアウトをテンプレートとして保存することもできる(写真=右)。撮影情報などのテキストを入れたレイアウトにも対応する

Easy-PhotoPrint Pro(キヤノン)

エプソンのプラグインソフトと同様、画面は3つの領域で構成されるが、全体的にすっきりしていて操作の流れがつかみやすい。背景色を黒にして印刷することも可能だ

 キヤノンが提供するPhotoshopプラグインソフトは、“Easy”でありながら“Pro”と不思議な名前のソフトだが、キヤノンによれば“プロが普段使用するような複雑なプリント設定が簡単に行える”という意味だそうだ。Photoshopだけでなく、キヤノンのデジタル一眼レフカメラに付属するRAW現像ソフト「Digital Photo Professional」との連動も可能だ。これらのソフトから呼び出すことにより、現像から印刷までのワークフローがスムーズに進められる。

 ユーザーインタフェースは同社の写真印刷ソフト「Easy-PhotoPrint」の機能を1画面に集約したような構成で、画面左に各種の印刷設定とレイアウトが並び、その右が印刷部数を設定できるサムネイルリスト、右半分はプレビューエリアとなっている。

 色調整の機能も備えており、「色調整」ボタンを押せばダイヤログが表示され、補正とカラーマネージメントの設定が行える。調整はシンプルなスライダーもしくは数値での入力になっており、一見どの程度変更していいのか分からないが、補正値のサンプルパターンを印刷できるので、好みの値が即座に把握できる。

 また、あらかじめICCプロファイルで印刷するように設定しておけば、このソフト上で用紙の種別と印刷品位を選ぶだけで、自動的に入出力のプロファイルが適用される仕組みだ。アプリケーションやドライバでいちいちプロファイルの設定をする必要がなく、ケアレスミスも回避できる。

 動作は軽くて、機能は必要十分、そして操作は簡単と、まさに冒頭で書いたコンセプトを体現した印刷プラグインソフトといえるだろう。ちなみにこれは余談だが、A4複合機2008年モデルのハイエンド機である「PIXUS MP980」は、PIXUSの複合機としては初めてこのプラグインソフトが付属する。

色調整のメニューは簡素な作りだが、補正値のサンプルパターンを印刷してチェックできる(写真=左)。カラーマネジメントのメニューはプリンタドライバと同様、ICCプロファイルや階調保持モードの設定を持つ(写真=中央)。エプソンのプラグインソフトのような多彩なテンプレートは備えていないが、印刷サイズは画像別に細かく数値で指定できる(写真=右)

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