「パシフィコ横浜」でフラットパネルディスプレイ専門展示会「FPD International 2008」が開幕した。例年、最先端のフラットパネルディスプレイが集まり、その大きさや画質を競い合ってきた同展示会だが、今年は少し趣が異なる。多くブースに電力計が設置され、消費電力の低さをアピール。部材メーカーや製造装置メーカーまで“グリーン××”を大きく掲げた。各社の開発テーマが、“エコロジー”に急速にシフトしたことがうかがえる。
中でも注目を集めていたのが、篠田プラズマが初めて一般に公開したフレキシブルなプラズマディスプレイ「SHIPLA」(シプラ)。直径1ミリのガラス管を並べた“プラズマチューブアレイ”(PTA)にフィルム状の電極を組み合わせ、超薄型・軽量にくわえて発光効率が高い(=低消費電力)といった特徴がある。
参考展示の試作機は、幅3メートル、高さ1メートルの125型で、緩やかな曲線を描いている。解像度は960×360ピクセルと少々物足りないが、上記のように発光効率が高く、消費電力は標準400ワット(MAX600ワット)と60型クラスのプラズマテレビと同程度。また、電圧を抑えてパネル負荷を軽減できるため、パネル寿命も一般的なプラズマパネルの2倍から3倍に延びる見込みだ。
製品だけでなく、製造工程もエコロジー。既存のプラズマパネルはガラス板をベースにする必要から、大画面になるほど製造に広いスペースが必要になる。これに対し、プラズマチューブアレイは狭いスペースと小さな製造装置でも大画面化に対応できるのがメリット。実際、神戸にある工場では、1000平方メートルほどの面積で100型クラスを製造している。
同社は、すでにサンプル出荷を開始しており、まず交通広告や商業施設向けのデジタルサイネージ(ポスターなどに代えて、電子ディスプレイで映像や情報を発信する)として提案する。また将来的にはエンターテイメント分野にも用途を広げる計画だ。「実物大表示も可能な大画面曲面ディスプレイなら、プレーヤーの視野を覆うような、リアリティの高い体感ゲームを実現できるだろう」(同社の栗本健司常務)。
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