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パイオニア「SC-LX81」の鮮烈な音で「インディ・ジョーンズ」最新作を楽しむ山本浩司の「アレを観るならぜひコレで! 」Vol.28(1/2 ページ)

» 2008年11月26日 13時11分 公開
[山本浩司,ITmedia]

 この1〜2カ月、本連載ではBDレコーダー(プレーヤー)やプロジェクターの注目新製品をいくつか取り上げてきたが、今回はAVアンプを。この秋の新製品の中で一番心に残った製品をご紹介したい。

そのモデルとは、パイオニア「SC-LX81」である。

photo パイオニア「SC-LX81」。SC-LX90と同じく英「AIR STUDIOS」でチューニングが行われ、THXの「THX Ultra2 plus」認証も取得している

「ブルーレイディスク元年」「HDオーディオ元年」の昨秋は、50万円を超える価格帯に各社から気合の入ったハイエンドモデルが登場して話題をさらったが、今シーズンは、それらのモデルで得られた技術的成果をより低価格な製品におろしてきたと思えるお買い得なAVアンプが多い。

本機SC-LX81もまさにそう位置づけることができる製品で、昨年発表されたパイオニアのフラグシップモデルSC-LX90(88万円)に投入された数々の技術的トライアルを消化し、練り上げ、33万5000円という価格にまとめあげたAVアンプといっていいだろう。

 BDソフトに収録されるリニアPCM やドルビーTrue HD 、DTS HD MA(マスターオーディオ)などの「HDオーディオ」と呼ばれるマルチチャンネル音声は、DVD に収録されている高圧縮のドルビーデジタルなどのサラウンド音声に比べて格段に音質面の可能性が高く、その魅力を十全に引き出すために、最新AVアンプには本質的な音質向上のノウハウが必要となる。とくに重要なのが、全チャンネル駆動時の音の力強さ、確かさだ。

 そこで注目したいのが、本機に採用された「ダイレクトエナジーHDアンプ」の駆動力の高さである。多くのミドルクラスのアナログ増幅方式のAVアンプは、2チャンネルで聴いているときにはかなりいい音を聴かせてくれるのに、5.1チャンネルや7.1チャンネルのマルチチャンネル駆動を試してみると、非力さを感じさせる製品が案外多い。

ダイレクトエナジーHDアンプを搭載した本機はそこが違う。マルチチャンネル再生でもステレオ再生時と変わらない力感あふれるフレッシュなサウンドを聴かせてくれるのである。アクション映画のバクハツ的銃撃シーンや雷鳴のとどろきなど、ここぞというときに腰砕けにならずにグイッとスピーカーにムチを入れる本機の音には、同価格帯のほかのAVアンプとは本質的に異なる駆動力の確かさが感じ取れる。

photo 背面端子群。HDMI×4(うちVer1.3a対応のHDMI入力は2系統)、D4×2、コンポーネント×3、コンポジット×7など。ボディーサイズと重量は、420(幅)×459.5(奥行き)×200(高さ)ミリ、18.5キロ

 ちなみにダイレクトエナジーHDアンプとは、バング & オルフセンとデンマーク工科大学の産学協同で生れた「ICEパワー」をベースに、パイオニア技術陣が高音質化のためのノウハウを盛り込んだ完成させた高効率デジタルアンプ。コンパクトなボディーからハイパワーが取り出せることから、現在ハイエンド工房を含む数多くのアンプメーカーがその採用を競っているが、高域を伸ばし、ひずみ率を改善したパイオニアのダイレクトエナジーHDアンプは、ICE パワー史上最高といえる高音質を実現したといっていい。ちなみに本機の電源はスイッチング方式ではなく、EIコアトランスを使ったコンベンショナルな整流方式である。

photo リモコンは最近のKUROシリーズ共通のデザイン

本機はこのダイレクトエナジーHDアンプを7チャンネル構成で搭載し、全チャンネル同時駆動時に700ワットの出力を保証している(昨年のLX90は10チャンネル構成/1400ワット)。

もう1つの注目点は、本機に採用されたパイオニア独自の自動音場補正機能の最新バージョンである「アドバンスドMCACC 」と「フルバンド・フェイズコントロール」である。前者には、全チャンネルの音圧周波数特性をフラットにできる「アコースティック・キャリブレーションEQ」と部屋の形状などによって決定され、大きな音質阻害要因となる低音で発生する定在波のピーク(3カ所のみ)を抑える「スタンディングウェイブ・フィルター」があり、理想的な音響条件が得られにくい一般的な居室では劇的な効果を発揮することが期待できる。

 後者の「フルバンド・フェイズコントロール」は、サラウンドシステムを構成する各スピーカーの位相特性をそろえる機能で、これはどんな部屋でもその効果が容易に実感できるはず。各スピーカーの音離れがよくなって360 度方向に音場が密につながり、フロントスピーカーとリアスピーカー間の音場に“疎”がなくなることで、がぜん臨場感が高まるのだ。

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