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自分にピッタリのイヤフォンを選び出す――カナル型編バイヤーズガイド(2/6 ページ)

» 2008年11月27日 08時30分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]

 販売されている製品数が多いため戸惑いがちだが、カナル型ならではの特徴を思い返し、段階を踏んで選んでいけば、それほど迷うことはない。重要なのは3点。優先順位が上位のものからいうと、

  • (1) 妥当だと思える価格帯のチョイス
  • (2) 音質の好み
  • (3) 装着性

 となる。オーバーヘッド編では価格よりも音質を優先するようレクチャーしたが、逆にカナル型ではコストパフォーマンスを優先する方が得策だ。なぜなら、カナル型はそのサイズゆえにどうしても耐久性が低いからだ。

 カナル型は、耳に差し込む本体も小さいし、付属するケーブルもかなり細い。その分、軽量なのはうれしい限りなのだが、それ故に耐久性も低いのだ。例えば本体は、何かに挟まり、強い力で押しつぶされると壊れてしまう可能性がある。不意に踏んでしまった程度では壊れないだろうが、無為な圧力がかからないよう注意しなければならない。

 ケーブルが細いのもウィークポイントだ。イスの脚で踏んでしまおうものならまず断線、どこかに引っかけたのに気がつかずそのまま引っ張ると、本体とケーブルが引き離れてしまうこともある。

photo ソニー「MDR-EX500SL」と付属ケース

 これは実際の話だが、先日電車を乗り換える際、乗降口付近に本体を引っかけ、そのまま気がつかず電車内の奥に進んでしまい、ケーブルを引きちぎってしまった。僕は「几帳面」という言葉からはほど遠い人間なので致し方ない部分はあるが、聴いている最中にあらぬところへ引っかけることのないようケーブルの露出をなるべく低くするのはもちろん、カバンにしまう際なども専用ケースを用意する(高級モデルはケースが付属している場合が多いのでそれを使うのが賢明)など、気を配りたい。

 ちなみにケーブルに関しては、比較的太めや硬めのシース(ビニール皮膜)を採用しているものもあるが、その分柔軟性がなく、なかには2〜3年で亀裂が入ってしまうものもある。耐久性がそれほど変わらないのなら、使い勝手の良い柔らかで細めのケーブルのほうがメリットは高いが、どちらがベターかは、正直断言できない。

 ともかくこういった性格上、「一生モノ」を期待して購入するのはちょっと危険だ。2〜3年もってくれればよいと思える価格を前提に、製品選びを進めよう。

 選び方のコツとしてはまず、想定した予算の上限ぎりぎりの製品を、メーカー問わず横並びに試聴することから始めよう。そのなかから、自分の好みにピタリとはまるサウンドを聴かせてくれるメーカーを1〜2(同一メーカー製品は多い。せめて3メーカー以下に絞って欲しい)選定する。

 それが終わったら、次はグレードの選択だ。気に入ったメーカーのラインアップから、いま聴いた製品の上位グレード/下位グレードを聴きくらべてみる。すると、自然に納得のいく製品が浮かび上がるはず。そうやって「満足できる音質」を見極めるのだ。

 この段階でもう一度価格を確認すると、思ったよりも安かったり、高かったりするかもしれない。けれどもここでコストを優先するのはタブー。思ったよりも安く済んだらそのメーカーのハイコストパフォーマンスぶりをたたえ、高かったら自分の耳の高性能さを恨むことにしよう。

 (3)の装着性だが、これに関してはそれほど心配することはない。カナル型はもともと耳に差し込むタイプなので、大きさの違うイヤーパッドか2〜3同梱されているし、別売品や社外品などのアフターパーツもいくつか存在する。そもそもカナル型がだめ、という人はあきらめるしかないが、そうでない場合は音質を優先しよう。どうしても装着感が気になる人は、サイズを大小変えてみたり、ウレタンなど素材の違うアフターパーツを試してみるべき。

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