カメラを手にして一番たくさん撮るのはやはり人物。撮るべき対象がいない人や、猫とか鳥とか風景とか鉄道とか……特に気に入ってる被写体がある人はともかくとして、普通にカメラを手にしたら人物は結構撮るわけである。
でも人を撮るのは意外に難しい。我々は撮ろうとする相手に対してそれぞれイメージを持ってるわけだが、撮るときの光の加減、焦点距離(広角か望遠か)、場所、体調、気分、そんないろんなもので写りが全然違って来ちゃうからだ。
で、今回は一眼レフを持って人物を撮ろう、という話である。
秋〜冬のよく晴れた日……光の当たっているところと当たってないところの差が大きくてコントラストが高くて人を撮るには難しい。
では光の当たり方で写りはどう変わるのか、実験してみた。カメラはニコンの「D90」でレンズは「50mm F1.4」。50ミリの単焦点レンズは「APS-Cサイズセンサー」のカメラだと75ミリ相当の中望遠になるのでポートレートを撮りやすいし、レンズが明るいし、コンパクトで軽いし、価格もそこそこお手軽なものが多いのでおすすめ。
まずは完全順光。顔の真正面から太陽光が当たっているとこうなる。顔が明るく写るのはいいけれども、鼻の頭などがテカりやすいし、何より、まぶしい。撮ってる方は太陽を背にしてるからいいけど、撮られる方は顔の真正面に太陽があるから、メチャまぶしい。プロのモデルさんならともかく、普通はまぶしくて目を細めちゃう。それはよくない。
頭の真後ろにビルがあって、頭からビルがそびえているように見えるけれども、こういう構図はおマヌケなので避けましょう。今回は360度撮るっていう方を優先しちゃいました。
では少し回転してみる。
斜めから日差しが当たる角度で撮影。少し角度を変えるだけで撮られる方もまぶしくないし、鼻やほほの陰影がはっきりでるのでより立体的に見える。くっきり系。
もう少し回って顔に直接日差しが当たらないようにする。
これはいわゆる「半逆光」。彼女の左ほほにだけ日差しが当たってる。そうすると顔が暗くなるので、プラス1の補正をかけた。
お次は太陽を背にした完全な逆光だ。
すごいことになりました。ピントはビシっとこないし、白くもやがかかってる。これは斜めから入った強い光がレンズ内で悪さをしてるのである。レンズフードをつけましょう。レンズにもよるんだけれども、逆光だと、構図内に太陽がいなくても、斜めからの強い日差しがレンズ内部で反射して余計な光が写り込んでしまいがち。
そこでちょいとレンズの上にたまたま持っていた雑誌をかざして(まぶしいとき目の上に手をかざすような感じと思えばいい)、余計な光をカットしてみた。逆光だと暗くなるのでプラス1の補正をかけてある。これなら、肌は柔らかいし、後ろ頭に当たってる日差しのおかげで髪の端が金色に光っててかわいい。
さらに回転して反対側の半逆光。さっきの半逆光と違って顔全体が日陰になっていて表情が柔らかく撮れているのは、彼女の髪型のおかげ。右側の髪がひさしの役割をしてくれたので、髪が日差しに輝いてなかなかカッコいい。
さらに回転してさっきとは反対から日差しが当たる角度で。
とざっと360度撮り比べてみた。
同じ日に同じ場所で同じ娘を撮っているのにこれだけ写り方が違うのだ。陰影が強く出て立体的に見えたり、優しそうに見えたりきつそうに見えたり。肌色の出方も違う。
面白いのである。
どの角度がいいかは一概にはいえない。まぶしい角度は避けるべきだけど、例えば鼻を高く見せたいなら陰影が出た方がいいし、その方が顔が細く見える。日差しが当たるとシャキッとしたシャープな感じになる。逆光だと柔らかい感じになり、顔の凹凸は目立たなくなる。そんなことで最適な向きは変わるのだ。
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