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超本格派、パイオニア「BDP-LX91」で体験するBD「ダークナイト」の鮮烈な映像と音山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.29(2/3 ページ)

» 2008年12月10日 11時58分 公開
[山本浩司,ITmedia]

 機能面で注目されるのが、DVD 、オンエア録画ディスクの1080/24p HDMI出力への対応だ。BD ROMの映画作品は、ほとんどのBDプレーヤー(レコーダー )で24コマ/秒のオリジナル映像をそのまま24p出力することができるが、本機は独自の信号処理によってDVDや放送記録ディスクについても同様の仕様で楽しめるのである。

 HDMI出力を2系統装備し、映像/音声のセパレート出力を実現したのも業界初の試み(デノンDVD-A1UDが追随)。メイン出力をAVアンプに、サブ出力をプロジェクターやテレビにつないだ場合、メイン出力の映像をミュート(黒画面での出力)することが可能だ。

photo 背面端子。HDMI出力を2系統装備し、映像/音声のセパレート出力を実現している

 これまでのBDプレーヤー(レコーダー)はHDMI出力が1系統しかないものがほとんどで、2系統あっても映像/音声のセパレート出力に対応しておらず、AVアンプのリピーター機能を使ってディスプレイ機器につなぐしかなかった。じっさいにAVアンプ経由でプロジェクターにHDMI入力した画質とBDプレーヤーからダイレクトにHDMI入力したそれを見比べると、明暗のダイナミックレンジや階調表現のスムースさで後者が上回ることを経験していただけに、このHDMI映像/音声セパレート出力の装備はとても意義深い。また、映像信号の解像度を落したほうがHDMIの音がよくなるという報告もあり、映像をミュートするメイン出力の音質の向上にも期待が持てる。

photo 細身のリモコンはKUROシリーズ共通のデザイン

 本機BDP-LX91には、表示素子に合わせて最適画質を提供する「ビデオアジャストモード」が用意されている。つい先日、パイオニアの最新50V型プラズマモニター「KRP-500M」をわが家に導入したのだが、ビデオアジャストモードの「Pioneer PDP」で観る本機の画質がじつに印象深かった。パナソニック「DMR-BW930」で録画したBDを本機で観たのだが、BW930の再生画質よりもより明快なコントラストが得られ、微小信号の再現性に優れる印象。LX91の基本画質のよさに加えて、KUROの特性を分析し、それに合わせた絶妙なチューニングが施されているからこそ、BW930を上回る再生画質が得られているのだろうと思う。

 わが家のもう1つの映像表示機器、ソニーのプロジェクター「VPL-VW200」に本機のHDMIサブ出力をダイレクトにつなぎ、メイン出力をAVアンプのパイオニア「SC-LX90」に接続して、110型スクリーンとJBLの大型ホーンスピーカーを中心としたサラウンドシステムで体験したBD ROMのパフォーマンスは、今年いちばんの収穫といって素晴らしさだった。

 ビデオアジャストモードの「PROJECTOR」と「PROFESSIONAL」を切り替えながら観たが、前者のほうがほんのわずかに精細感が増す印象で、後者はより滑らかな階調の推移が実感できる画質という違いがあった。

 また、映像をミュートしたメイン出力のHDMI音声は、これまで聴いたことのない力感あふれる鮮烈なサウンド。中域が充実しており、声が肉厚に響き、聴感上の音圧感が高い。それゆえ、SC-LX90のボリューム位置を2〜3デシベル落して聴くと、ほかのBDプレーヤーと音圧レベルがそろう印象なのである。

 いくらハイスペックなHDオーディオが伝送できるといっても、HDMIの音は力強さと躍動感に欠けて頼りないと言われていたことがウソのよう。ダイナミック・コントラストの鮮やかなこの音を聴いて、優れたBDプレーヤーの存在意義を改めて実感した。

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