先日、ノミネート作品発表が発表された第81回アカデミー賞。今回は外国語映画賞に本木雅弘主演の「おくりびと」がノミネートされ、ひさびさに日本映画が受賞するかと話題になっている。
どの作品が作品賞を受賞するのかを予想するのも楽しいが、作品だけではなく、作品を支える俳優/女優にフォーカスしてみるのも楽しいもの。今回紹介する5本をチェックして、第81回アカデミー賞に深くかかわる俳優/女優の名演を再確認しておこう。
「レイチェルの結婚」で今年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたアン・ハサウェイ。「プリティ・プリンセス」で一躍ティーンのアイドルとなり、「ブロークバック・マウンテン」で衝撃のヌードを披露、「プラダを着た悪魔」ではメリル・ストリープ扮する鬼編集長と渡り合い、もっとも将来が期待される若手女優のひとりだ。
そんな彼女がスティーヴ・カレルと競演したスパイ・コメディ映画が「ゲット スマート」。元ネタは世界的に大人気だった1960年代のテレビ番組「それ行けスマート」だ。共演するのは「HEROES」の“ヤッター”ことマシ・オカ。
米国極秘スパイ機関の分析官スマート(カレル)は、長年の夢がかなってエージェントに昇格するが、ゴージャスな美女エージェント99とコンビを組むことに。スマート本人は至ってマジメなのに、ギャグにしか見えないスパイ活動の数々に爆笑。拾いモノはハサウェイのコメディエンヌぶり。全身整形の美女という設定も笑えるが、カレルとの相性が良く、お笑いシーンに溶け込んでいるのも面白い。かなり本気のアクションも大きな見せ場となっている。特典はNGシーン集、スマートの言語レッスンなど約89分を収録(3月11発売 ワーナー・ホーム・ビデオ/4980円)。
今年の台風の目となっているダニー・ボイル監督の「スラムドッグ$ミリオネア」。10館で公開がスタートし、ハリウッドのメジャースタジオがすべて見送ったこの作品が、年内には600館規模へと拡大。アカデミー賞では9部門にノミネートされるなど、各賞を賑わせている。
「クイズ$ミリオネア」に出演したスラム街出身の主人公。クイズと並行して、主人公の波乱万丈の人生が描かれ、その躍動感たるやお見事。ダニー・ボイル監督のスピーディーな映像に魅了され、彼の出世作「トレインスポッティング」以来の快作だ。
日本でも大ヒットした1996年の「トレインスポッティング」は、スコットランドのヤク中の若者の日常と狂気を描いたアイロニカルなイギリス映画。オビ・ワンになる前のユアン・マクレガーもいいが、共演のロバート・カーライルの存在感も見逃せない。
男に追いかけられてマクレガーが街を駆け抜けるシーン、スコットランドで最悪のトイレの便器にマクレガーが頭を突っ込むシーンなど、一度見たら忘れられない強烈なシーンが多い。「スラムドッグ〜」はまさにインド版「トレスポ」といった感じで名シーンが多数登場、両作ともお見逃しなく(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/4980円)。
デビッド・フィンチャーとブラッド・ピットが3度目のコラボを組んで、相思相愛ぶりを見せつけたファンタジー・ドラマ「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」。アカデミー賞では今年最多の13部門にノミネートされている。
ドラマの名手であることも証明したフィンチャーだが、やはり彼にはサスペンス・スリラーがよく似合う。2006年製作の「ゾディアック」は、全米を震撼させた未解決殺人事件を扱った実録サスペンス。印象に残るのは残忍な犯行現場の再現。白昼の湖畔で若いカップルが襲われるなど、どのシーンも異様な緊張感が漂う。
フィンチャーは、事件を記者(ロバート・ダウニーJr.)、新米の風刺漫画家(ジェイク・ギレンホール)、そして担当刑事(マーク・ラファロ)の目を通して描く。謎の暗号を残し、捜査を翻弄(ほんろう)する犯人に魅了され、あぶないほどのめりこんでいく彼らは、やがて神経を病み、悲惨な末路をたどっていく。ゾディアックによって人生を狂わされた彼らもまた、被害者といえる。
「アイアンマン」のロバート・ダウニーら3俳優の演技が出色、クールな映像もフィンチャーならでは。固唾をのんで見守る163分、割とあっという間です(ワーナー・ホーム・ビデオ/4980円)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR