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トイカメラやフィルムの味を表現するデジ一眼――オリンパス「E-30」レビュー(1/4 ページ)

» 2009年02月10日 11時05分 公開
[永山昌克,ITmedia]

アートフィルターを使いこなす

 最近のデジカメはよく写る。一眼レフでもコンパクトでも、押すだけのフルオートできれいな写真が簡単に撮れる。こだわるマニアやプロ向けには画質の進化の余地はまだまだあるが、一般向けには「高画質」というだけでは売り文句にはならなくなっている。

 そんな中、オリンパスが昨年末に発売した中級デジタル一眼「E-30」は、高画質の追求とは別に、もうひとつの写真の楽しみ方を提案している。それがアートフィルター機能だ。新開発の処理エンジン「TruePic III+」には、撮影時に色や明るさ、ぼかしなどを制御・調整するアートツールが組み込まれ、被写体をリアルに“再現”するのではなく、あえて色や明るさのバランスを崩し、肉眼とは違った風に“表現”できる。

photo オリンパス「E-30」とキットレンズ「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II」

 アートフィルターの使い方は、まずモードダイヤルを「ART/SCN」の位置にセットし、液晶表示されるサンプル写真を見ながら、6種類の効果を選択する。するとライブビュー画面には、その効果が適用された状態の映像が表示されるので、それを見ながら撮影を行う。露出モードはプログラムAEとなり、必要に応じてプログラムシフトや露出補正を加えたり、ホワイトバランスや感度などをユーザー設定することも可能だ。

 6種類の効果とは、彩度が極端に高くなり、こってりとした色合いになる「ポップアート」のほか、薄い青みが加わった色調で、階調がやわらかくなる「デイドリーム」、色味はあまり変えずに、全体を明るく低コントラストに仕上げる「ライトトーン」、ライトトーンにさらにぼかし効果を加えた「ファンタジックフォーカス」、コントラストが高く、粒子が粗い高感度白黒フィルムのような表現になる「ラフモノクローム」、周辺光量と全体の彩度を下げて、ややセピア色を加えた「トイフォト」である。

photo ポップアートで撮影。本来は薄いおうど色の地味な駅舎だが、まるで赤い光でライトアップしたように濃厚な色彩になった。絞り:F3.5、シャッター速度:1/15秒、感度:ISO800、焦点距離:54mm、レンズ:「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II」
photo 同じくポップアートを使用。かなりどぎつい色調になるので、シンプルな構図や被写体でもインパクトのある写真になる。絞り:F3.5、シャッター速度:1/50秒、感度:ISO800、焦点距離:54mm、レンズ:「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II」
photo デイドリームで撮影。「白昼夢」と名付けられたこのフィルタでは、ネガフィルムのような淡い色調になる。絞り:F5.6、シャッター速度:1/320秒、感度:ISO200、焦点距離:54mm、レンズ:「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II」
photo ファンタジックフォーカスで撮影。薄布をかけたようなソフト表現は、女性ポートレートや夜景の撮影に好適。絞り:F2.9、シャッター速度:1/10秒、感度:ISO640、焦点距離:18mm、レンズ:「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II」
photo ラフモノクロームで撮影。60年代のプロヴォーク風“アレ、ブレ、ボケ”の写真が簡単に撮れる。トライXの増感またはミニコピーフィルム風ともいえる。絞り:F3.5、シャッター速度:1/15秒、感度:ISO1250、焦点距離:20mm、レンズ:「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II」
photo トイフォトで撮影。一部の愛好家の間で流行っているトイカメラのような表現。10万円超の最新デジタル一眼が、数千円のトイカメラの描写を真似るのが愉快。絞り:F3.2、シャッター速度:1/60秒、感度:ISO800、焦点距離:39mm、レンズ:「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II」
photo トイフォトを選び、アスペクト比6:6の正方形フォーマットで撮影。選んだアスペクト比に応じて周辺光量が落ちる。絞り:F9、シャッター速度:1/640秒、感度:ISO200、焦点距離:28mm、レンズ:「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II」
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