各社から3Dテレビが発表され、かつてないほど“3D立体視”に熱い視線が注がれる中、ちょっと興味をそそられるガジェットがシネックスから発売された。光学メーカーとして知られる独カールツァイスが作った3Dアイウェア「cinemizer plus」(シネマイザー・プラス)だ。
見た目は、ちょっと奥行きの長いサングラスといったところ。メガネの内側に、VGA解像度の液晶パネルを搭載しており、左右の映像を個別に表示して視差を生む仕組みだ。2Dの動画についても左右の液晶パネルに同じ絵を表示することで対応可能。同社では「2メートル離れた場所に45インチの大画面があるような迫力」としている。また、メガネのつるの部分には可動式のスピーカーを備えており、これ1台で映像と音楽を再生できる。
iPod/iPhoneとの組み合わせを前提にしている点もユニークだ。シネマイザー・プラスは、メガネ本体とインタフェースユニットの2ピース構成で、その間を有線でつないでいる。入力端子はドックコネクターとUSB、そして3極ミニジャックのアナログビデオ入力(ミニジャック1本で映像とステレオ音声を伝送できる)。ドックコネクターを使用する場合は、iPod/iPhoneのモデルごとに用意されたアダプターを背面に取り付け、インタフェースユニットの上をスライドさせるようにしてドッキングさせると、しっかりと固定できる。
3Dコンテンツは、サイド・バイ・サイド方式に対応している。サイド・バイ・サイドとは、1画面の中に横方向を半分に圧縮した右目用と左目用の画像を同居させるもので、画質的には水平方向の解像度が半分になってしまうが、チューナーや録画機を買い替える必要がないため、デジタル放送やVOD(ビデオ・オン・デマンド)ではスタンダードになっている。
一方、HDMI伝送が前提となるBlu-ray 3Dや「プレイステーション3」の3D立体視ゲーム(フレームパッキング)には対応できない。ただし、一部のグラビアBDなどにはサイド・バイ・サイド収録のものが存在するほか、ユービーアイソフトの「アバター THE GAME」のように、サイド・バイ・サイド出力に対応したゲームタイトルの例もある。これらはシネマイザー・プラスでも楽しめるはずだ(解像度はSDになる)。
では、実際の映像を見てみよう。まず、アナログ外部入力(接続ケーブルはオプション)を使い、BS11で放送された「3D紀行 江ノ電で巡る湘南・鎌倉」を試聴する。液晶パネルはVGAのため、文字などは一定以上の大きさがないと読みにくいものの、画面は意外なほど明るく、ストレスの少ない3D映像を見ることができた。
考えてみれば、シネマイザー・プラスは2つの液晶パネルを両方の目で直視するだけで、3Dテレビのように右目用と左目用の映像を交互に表示したり、クロストーク対策で明るさを犠牲にするといった必要がない。もちろん液晶シャッターも不要で、3Dを見せるデバイスとしては構造的にとてもシンプルだ。これが、明るく自然な立体視を可能にした要因だろう。
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