昔の話で恐縮だが、“テレビデオ”と呼ばれる製品があったことを覚えているだろうか。購入したことはないが姿形は思い出せる、という人も多いはず。そう、テレビデオとは、小型テレビにビデオデッキを内蔵させた、一体型テレビの通称である。
15〜10年前にはかなり流行った製品ではあるが、いまや完全に下火。アナログ停波とともに姿を消してしまうだろうといわれているが、50代以上の人にとってはいまでも重宝する存在のようで、実際に我が実家では2台が現役で活躍している。音声がモノラル、コストダウンのため1チューナーしかなく裏録ができない、ビデオデッキが先に壊れてしまうことが多いなど、いくつかのデメリットを持つテレビデオだが、シンプルで分かりやすい操作性は、「ハイテク家電」(なつかしい響きだ)を苦手とする中高齢者にはベストマッチな製品のようだ。
パナソニックの新型オールインワンテレビ、RT2Bシリーズを見て最初に思い出したのが、このテレビデオという存在だ(→「3D対応の“全部入り”録画テレビ、パナソニックが発表」)。いまやBlu-ray Discドライブ内蔵タイプやUSB HDDを接続して番組録画できるテレビが随分増えた、いやそちらの方が主流となってきているくらいだが、なかでもRT2Bからは、最新の映像を誰でも手軽に楽しめませようという明快なコンセプトが伝わってくる。
まずそれがよく分かる点が、録画メディアがHDDだけでなくBlu-ray Discだけでもなく、両方が搭載されているということだ。普段はHDDに番組を録画し、ある番組だけ別の部屋や友達の家で見たい、というシチュエーションはよくあることだが、それを実現している一体型テレビはほとんどない。機能的にはBlu-ray Discレコーダー付テレビがテレビデオに近い存在かもしれないが、気軽に重ね撮りできるビデオテープと違い、BD-REはまだまだ高価。現時点では「普段はHDD、とっておきはBlu-ray Disc」という使い方のほうが、現実に即したものとなっている。
そして実際の使い勝手も、かなりシンプルにまとめ上げられている。番組表を見ながら録画設定を行うのであれば、デジタル家電が苦手なユーザーにも分かりやすい。この点ではテレビデオよりも使いやすいかもしれない。内蔵されているチューナーは2つなので、単体HDDレコーダーのように2番組を同時裏録画するとはできないが、テレビデオユーザーにとっては、1番組裏録画できるだけでも充分「高機能」に思えるだろう。
また録画モードは、標準、長時間1(3倍相当)、長時間2(6倍相当)の3つしか選べないが、これは機能を省略したというよりも、分かりやすい3つに絞り込んで紛らわしさを回避した意味合いの方が強いだろう。ビデオデッキからHDDへ映像が取り込めたり、録画ボタンを押すだけでメニュー画面に移ることなく視聴中の番組を録画できるなどにも、ユーザーの使い勝手を優先したコンセプトがうかがえる。さらにリモコンに用意されている「らくらくアイコン」ボタンを押すと、予約一覧やHDD→BDダビングなど、よく使う機能が即操作できるようになっている。機能もメニュー体系もできるだけシンプルにした使い勝手の良さは、幅広いユーザーを意識した結果だろう。
しかしながら、単なる「高齢者向けモデル」ではないこともRT2Bシリーズならではの魅力だ。いま話題の3Dコンテンツ対応モデルであることを筆頭に、2D映像の3D変換、ネットテレビ、Skypeによるテレビ電話、ビエラリンクによる接続機器のコントロールなど、最新モデルならではの多種多様な機能が満載されている。お手軽操作が魅力の製品としてとらえ、自分には縁がないと考えるには、少々もったいない存在であることは事実だ。
ということで、さっそく実機を借りて、RT2Bシリーズの実力を検証してみることにした。今回テストを行った製品は42インチモデルの「TH-P42RT2B」。「3D映像は大画面でないと魅力がない」と巷でいわれていることもあり、そういった事実関係も含め、さまざまな視点からチェックを行うことにした。
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