ソニーのBlu-ray Discレコーダー2010年冬モデルは、待望のダブルエンコーダー搭載、BDXLメディアにも対応するなどトレンドをしっかり抑えたフルモデルチェンジとなっただけでなく、ターゲット層も広げた意欲的な製品だ。
「BDZ-AX2000」は、2010年冬モデルのハイエンドに位置付けられる製品だ。ソニーの場合、Blu-ray Discレコーダーの上位機種では、モデルチェンジはおおむね年に1回であり、本機も従来モデル「BDZ-EX200」からほぼ1年ぶりのモデルチェンジとなる。もちろんハイエンド機だけあって、2010年冬モデルの集大成に仕上がっている。
本機を含めた2010年冬モデルは、従来の同社製品に見られた不満点をほぼ解消した改良点の多いフルモデルチェンジになっている。プレミアムモデルが「BDZ-AX」、スタンダードモデルが「BDZ-AT」と型番の命名ルールが変更されているのも、フルモデルチェンジの証しといえる。
ダブルチューナーモデルでは、MPEG4/AVCエンコーダーを2つ搭載して2番組同時録画時の制限を撤廃すると同時にマルチタスク性を大幅に向上し、電子番組表の一覧性も向上。ユーザビリティという点では録画予約関係が大きく変更されたほか、リモコンも使い勝手重視にリファインされた。幅広いユーザー層の取り込みを狙った改良なのだが、従来からのユーザー層が利用しても回りくどくなったといった不満を感じさせない。
また、競合製品に比較すると大きく重い点も同社製品の弱点といえたが、従来製品比で4〜5センチメートルほど奥行きが短くなり、より薄く、軽量になった。シングルチューナーの「BDZ-AT300S」の高さ49.5ミリは製品発表時点での業界最薄とのことで、スタンダードモデルはすべて4キログラム未満の重量に抑えられた。上位の2機種は6kgを超えているが、これは主に音質面でメリットのある制振性の高い4ミリ厚のアルミ製天板などを採用した結果で、少なくともマイナス材料にはならないだろう。
デザインは従来製品からほぼ継承された。開閉式のアクリルパネルにより前面をフルカバーされたフラットなデザインで、いかにもAV機器的だ。カバー内にはSD/メモリースティック兼用のメモリカードスロット、B-CASカードスロット、USB/i.Link端子、ワンタッチ番組転送/カメラ取り込みボタン、最小限の操作ボタン(再生/停止/録画/チャンネルアップダウン)などが収められている。なお「AT」シリーズでは全面のアクリルパネルが廃止され下半分に開閉式のカバーを備えるデザインに変更されているが、いかにもAV機器的なデザインである点は共通といえる。
背面の端子群は従来製品より整理された。先代となるBDZ-EX200では2系統だったAV入力端子が1系統に変更され、D端子専用のアナログ音声出力も廃止された。ただしスタンードモデルでは2009年モデルから同様の構成に変更済みで、HDMI接続の一般化やテレビ側の入力端子数の充実といった実情に合わせたものだ。HDMI端子は2系統備えており、映像専用、音声専用と使い分けることで映像信号と音声信号の干渉を抑えることが可能となる。
他社ではすでに採用済みだが、本機を含めた新モデルのダブルチューナー搭載製品ではMPEG4/AVCエンコーダーを2つ搭載し、2番組同時に任意の録画モードでの録画が可能となった。同時に「おでかけ転送」用録画データを作成する機能も、従来機種でいう「録画1」のみという制限がなくなった。本編とCM間やシーンチェンジ部分に自動でチャプターを設定する「おまかせチャプター」に関しては、2009年冬モデルで2番組同時録画でも機能するようになっていたが、もちろんこれも有効だ。
正確にいうと従来機種の全録画モードで録画できる「録画1」とDRモード(TS録画)のみの「録画2」という区別そのものがなくなり、多くの人にとっては分かりやすくなっている。とりあえずDRモードでしか録画しない、といったユーザーにも十分メリットは大きい。
電子番組表も大きく改善された。表示画面は従来の最大7チャンネル×4時間から、9チャンネル×6時間へと一覧性が向上。テレビ局の多い東京地区でも、NHK+民放キー局+ローカル局を1画面に収めることが可能になった。スクロール速度はお世辞にも早くないのだが、リモコンのフラッシュボタンでページスクロールが可能なので、それほどストレスは感じない。
また従来は番組数の多い時間は拡大表示しないと全番組が確認できない課題があったが、本機では開始時刻だけを表示し、該当部分にカーソルを移動すると開始時刻と番組名が展開されて確認できるようになった。DIGAシリーズのような高精細表示ではないが、実用レベルでの課題はクリアされたと感じる。
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