HDMI入力の切替を早くするシリコンイメージの「InstaPort」がさらに高速化を図り、名称とロゴマークも「InstaPort S」に改める。「CEATEC JAPAN 2010」会場近くにプライベートな展示スペースを設けているシリコンイメージをたずね、その詳細を聞いた。
そもそもHDMIの入力切替に時間がかかるのは、著作権保護技術として採用されたHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)の認証が大きな要因になっていた。テレビの入力を切り替えると、まずソース機器がテレビに接続されたことをHPD(Hot Plug Detect Pin)で認識し、EDID(Extended Display Identification Data)をやり取り。テレビの入力切り替えに機種名が表示されるのは、このEDIDを読み取るからだ。その後、ソース機器は出力する解像度を決定し、HDCPの認証作業であるKSV(key Selection Vector)のやり取りなどを行うことで初期の認証作業が完了。テレビのSoC(System on Chip)が映像をディテクト(解析)して、画面に映像が出るという手順になる。
以前のテレビでは、この一連の作業を行うために時間がかかり、長いものでは6〜7秒も待たされるケースがあった。しかし2008年に登場したInstaPortは、テレビの電源オンもしくはソース機器を接続した時点からバックグラウンドで認証作業を行うことで、HDMI入力の切替を高速化。同技術に対応したHDMIコントローラチップを搭載したテレビなどでは、2秒弱で切替が可能になっている。
InstaPortはシリコンイメージの独自技術で、標準化などはされていないが、現在では、ソニー、シャープ、東芝、日立、サムスンといった大手メーカーが軒並み同社製のHDMIコントローラチップを採用し、全世界で5000万台のテレビがInstaPortに対応しているという。
では、新しい「InstaPort S」は、どのように高速化を図ったのか。シリコン イメージ ジャパンの竹原茂昭社長によると、「従来、ソフトウェアで行っていた処理の一部をハードウェアで行うようにしました。それにメーカー側のSoC(シリコン・オン・チップ、テレビのCPU)の処理能力も上がり、従来より30〜40%高速化しています」という。
同社では、InstaPort S対応のHDMIコントローラ(ポートプロセッサ)「Sil 9387」の量産を既に開始しており、来春にはこれを搭載したテレビが市場に登場する見込みだ。Sil 9387は、5ポートのHDMI入力を備え、HDMI 1.4に含まれる3D、ARC、HECなどをサポート。モバイル機器向けシリアル・リンク技術「MHL」(Mobile High Definition Link)にも対応する高機能タイプとなる。またHECなどを省いた4ポートのポートプロセッサ「Sil 9381A」も用意される予定という。
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